彼女がお祭りにふんどしを締めてきた話

ボードゲーム

弓槻「ぬう」

侑希「ぬう」

夢葵「……」

弓槻「むう」

侑希「むう」

夢葵「ねえー、暇ー。二人だけで将棋なんてやってないでみんなで遊ぼうよ」

弓槻「ぬぬぬ」

侑希「むむむ」

夢葵「だああああ！」

〈がっしゃーん〉

弓槻「うおっ！」

侑希「何するんだよ、お前。せっかくいいところだったのに」

夢葵「ひまひまひま！　二人だけじゃないくてみんなで遊ぼうって言ってるの！　ね、ゆきさん」

ゆき「将棋は四人ではできませんもんね」

弓槻「まぁ、そうだな。別のボードゲームにするか。お前もそれでいいか？」

侑希「うん。せっかくみんないるし、それでいいよ。僕勝てそうだったけど……」

夢葵「何かボードゲームない？　なければ、スマホのパーティーゲームでもいいけど」

侑希「あ、双六（すごろく）があったはず……」

夢葵「お、いいね」

侑希「えと……、ああ、あったあった」

〈がたん〉

夢葵「え？　なに？　そのでっかい板」

侑希「双六だよ」

夢葵「変わった双六もあるんだね」

弓槻「懐かしいな。あたしと侑希で小さい頃にやったな」

侑希「ね。将棋に飽きた時は双六やってたね。どう？　姉さん久しぶりにやらない？」

弓槻「お、いいな。久しぶりすぎてルールがあれだけど……」

侑希「まぁ、できるでしょ。白がいい？　黒がいい？」

弓槻「じゃあ、あたし白な」

侑希「了解。僕黒ね」

夢葵「ねぇ、なんか勝手に話進んでるみたいだけど、あたしとゆきさんは？」

侑希「え？　二人でしかできないけど」

夢葵「ん？　双六ってみんなでできるやつじゃないの？」

ゆき「夢葵ちゃん、たぶん侑希さんが言ってる双六は平安時代の盤双六のことだと思います」

夢葵「なに？　じゃあ、結局あたしとゆきさんはできないの？」

ゆき「私もルールがわからないので……」

弓槻「よし、じゃあ、始めるぞ」

侑希「ふっふー。姉さんが僕に勝てるかな」

夢葵「おりゃあああああああ！」

〈がっしゃーん〉