嫉妬 〜ゆきちゃんとぬぬぬぬ〜



「……」



「侑希さん? どうしたんですか?」



「……いや、なんでもないよ」



「?」



「なんでもないって。どうしたの?」



「なんでもないことないです! ちょっと変ですよ。昨日もそうでしたけど、侑希さんこそ、どうしちゃったんですか?」



「……いや、その、ゆきちゃんって、姉さんとか夢葵と仲いいなと思って」



「へ?」



「いや……」



「?」



「ほら、ゆきちゃん、特に夢葵となんて、休日にいっしょにカフェとかふたりで行ってるでしょ」



「そうですけど……」



「なんというか、そういう……」



「もしかして」



「?」



「嫉妬ですか?」



「ん? 嫉妬? 嫉妬とは違うことない? それって好きな子が別の異性と楽しそうに話してることにぬぬぬってなるやつのことじゃない?」



「別に異性だけとは限らないみたいですよ。たぶん、夢葵ちゃんに軽く嫉妬してるんじゃないでしょうか?」



「うーん。そうなのかなぁ」



「気分がよくないとか……?」



「いやぁ、なんで夢葵や姉さんはゆきちゃんと仲がいいんだろうとは思うことあるけど……」



「軽めの嫉妬かもしれませんね。大丈夫ですよ。私の彼氏は侑希さんだけですから、気にしないでください。ほら、昨日だってひざまくらしてあげたじゃないですか。夢葵ちゃんや弓槻さんにはしませんよ」



「ああ、そうか。まぁ……。あ、別に夢葵と遊んでほしくないって言ってるわけじゃないからね。これまでと同じように仲良くしてあげて」



「はい。それは大丈夫だと思ってたので」



「うん。なんかごめんね」



「いえいえ……」



〈ピロン〉



「メッセージ?」



「あ! 雪斗ゆきとからです! 試合で勝ったそうですよ! えへへ。雪斗が活躍したって……。えへ、えへへ、えへへ。はぁ、見たかったなぁ……!」



「ぬぬぬ」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る