まひひめ その七



「お、今日も面白そうなの読んでるね」



「はい。これはやっぱりいつ読んでも面白いですね」



「ふーん。まぁ、読ませてよ」



「どうぞ」









姫「素敵なお菓子をもらったわ! とってもおいしそうなクッキーね。どこにしまっておこうかしら。あら? とってもさっぱりした匂いのする箱があるわ。ここに入れておけばよさそうね」



爺「ああ、姫様。その箱には果物が入っています」



姫「うーん。ちょっとお腹が空いてきたわ。でも、夕ごはんの前にいっぱい食べたら怒られそうだし……。そうだわ! さっきもらったクッキーを食べましょう! たしかこの入れ物に……。あった! よーし、いただきまーす! あむ、……っ! んっ、何かしら! すっぱいわ! クッキーがすごくすっぱい! もしかして、この箱に入ってたのって……」



 梶井基次郎 『檸檬のいれもん』









「はい! ゆき先生! これは疑惑の判定じゃないですか!」



「ぎわく?」



「今まではタイトルを一文字くらい変えてただけなのに、今回は五文字も追加してますよ!」



「もうなんでもありにしてあげてください。作者も振り絞ってるみたいなんです。檸檬だけに……。なんちゃって」



「ちょっとうまいね……」


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