禁止令 〜ゆきちゃんと没収〜



「侑希さん、聞いてください」



「どうしたの?」



「今日、学校で禁止令が出たんですよ」



「禁止令? 確か前もあったよね」



「はい。ヒーローキックが流行って禁止になったんですよ。今回は没収されてました」



「没収ってことはゲーム機でも持ち込んでたの?」



「それが休み時間にトレーディングカードゲームをやってたみたいで」



「あー、カードゲームか。小学生はトレカ好きだよね。ちなみになんてトレカだったの? ちょっと前はカード買うすら困難だった、モンスターをボールで捕まえるあのゲーム?」



「いえ、私の学校で爆発的に流行ってる『インストバーン』ってゲームで」



「ああ、前言ってた楽器のカードだっけ。なんでそんなのが流行ってるのか謎だけど」



「持ってきてたのは没収されてました。さすがにかわいそうでしたけど」



「もちろん持ってきてたのが悪いっていう前提だけど、その気持ちはわかるな」



「取り上げられてから、泣き出しちゃったんですよね」



「一生懸命お小遣い貯めて買ったんだろうね。そりゃ泣いちゃうよ」



「どうやら、全国大会優勝記念の超希少カードもあったらしくて」



「あちゃー。……え?」



「?」



「全国大会優勝? 小学生が? すごくね」



「? 没収されたのは児童だけじゃないですよ。もちろんいっしょにやってた児童のも取り上げられてましたけど」



「どういうこと……?」



「いつもは額縁に入れて厳重に保管してるみたいなんですけど、児童に自慢したくてちょうど持ってきてたみたいです」



「まさか、カードを没収された人って……」



「教頭先生です」



「教頭!」


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