行ってきます 〜ゆきちゃんと林間学校〜



「あ、侑希さん。言い忘れてました」



「何?」



「明日から林間学校です」



「は?」



「明日から林間学校へ行ってきます」



「いやいや、聞こえてるよ」



「林間学校です。知らないですか? それとも言い方が違ったとか……」



「違う違う。林間学校はわかるよ。何、明日からって?」



「明日出発です」



「ねぇ、修学旅行のときもそうだったけどさ、言うの遅くない? なんで前日?」



「修学旅行のときっていつでしたっけ?」



「第39話だよ。結構前だね。って、そんなことはどうでもよくて。普通もう少し前から伝えない? 明日も会えると思ってたんだけど」



「ごめんなさい。完全に忘れてたんです」



「林間学校とか修学旅行とか、学校の一大イベントを普通前日まで忘れてるかな。僕ほんとに心配なんだけど」



「大丈夫ですよ。明日も明後日も晴れるみたいです!」



「天気の心配じゃねぇよ!」



「あ。もしかして、あれですか? 消費税を含むか含まないか不安なんですね」



「先生! バナナはおやつに入りますか! じゃなくて。そんな心配してないよ。確かに消費税を考えると三百円じゃあんまり買えないけど。まぁ、いいか。いつものことだし……。どこに行くの?」



「北陸です」



「北陸かー、いいね。僕も学修旅行で行ったことあるけど楽しかったなー。ん? 北陸なのに林間学校なの? 海じゃなくて」



「一応宿泊施設が森の中にあるので」



「あー、内陸寄りなのかな」



「でも、二日目は海で釣りに行きますよ」



「海行くなら林間学校じゃなくね……」



「三日目はスキューバダイビングもできるそうです」



「ほんとに小学生の林間学校の話してる……?」


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