侑希さんと帰省編 その十二



「ねぇ、侑希さん」



「ん?」



「弓槻さんのことなんですけど……。侑希さんは弓槻さんに叱られたことってありますか?」



「叱られたこと、か。一回あるね。どうして?」



「その、私、雪斗と十個も歳が離れてるんですけど、一回も叱ったことなくて。弓槻さんはあるのかなって」



「あー。なるほどね。別に叱るようなことがなければ、無理にしなくてもいいと思うよ」



「……そうですよね。ちなみに侑希さんはなんで弓槻さんに叱られたんですか?」



「うーんと。中学生か高校生くらいの時かな。夢葵ゆめき、妹の帰りが遅い日があって、姉さんもお風呂に入ってたから、僕一人で晩ごはん食べちゃったんだよね。そしたら、姉さんにめちゃめちゃ怒られた。びっくりするくらい怒られたね」



「へ? なんでですか?」



「ごはんはみんなでそろって食べないとダメだろって」



「あ……」



「ほら、今朝だって朝ごはんのために起こしてくれたでしょ。ごはんはみんなで食べたいんだって」



「……本当に弓槻さんいい人ですね」



「うん。僕もそう思うよ」


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