侑希さんと帰省編 その八


〈ポー〉



弓槻「おい侑希。起きろ。朝ごはんできたぞ」



侑希「……んー」



弓槻「おいポンコツ侑希。早よ起きろボケナス」



侑希「……ああ、姉さん。おはよう」



弓槻「朝ごはんの準備できた。早く居間に来い」



侑希「……ありがとう、すぐ行くよ。ゆきちゃん、起きて」



ゆき「……生涯無休……」



侑希「ゆきちゃん。朝。起きて」



ゆき「……待ってください、きのこ係長……」



侑希「起きてってば。姉さんに怒られちゃうよ」



ゆき「……んー。……ん、侑希さん。おはようございます……」



侑希「おはよ。姉さんが準備してくれたからごはん行こ」



ゆき「ん! 弓槻さんに準備させちゃいました!」



侑希「いいよ。ゆきちゃんはお客さんなんだから。ほら、行こ?」



〈ポー〉



侑希「姉さん。おはよう」



ゆき「おはようございます」



弓槻「おう」



侑希「って、準備してないじゃんか! ごはんできたって言ってたよね?」



弓槻「できてんじゃねぇか」



侑希「できたって、こたつの上みかんと饅頭しかないよ。ごはんは?」



弓槻「饅頭」



侑希「は?」



弓槻「まんじゅう」



侑希「いや読み方がわからないんじゃなくて。饅頭が朝ごはん?」



弓槻「ああ」



侑希「なんで?」



弓槻「そこの仏壇にあったから」



侑希「お供物かよ。え? 他にないの? パンとかご飯とか」



弓槻「ない。インスタントラーメンならあるぞ」



侑希「朝からインスタントラーメンはきついよ。何も準備してないの?」



弓槻「お茶なら沸かしてるぞ。ほら、さっからポーポー鳴ってるだろ」



侑希「これお湯が沸騰した時の音だったんだ。鳥の鳴き声かと思ったよ」



弓槻「よし。どうぞ、彼祭さん。熱いから気をつけてな」



ゆき「ありがとうございます。わあ! いい香りですね」



弓槻「玉露ぎょくろだってよ。戸棚に置いてあった」



侑希「それお客さん用のやつじゃない? 僕らが飲んでいいいの?」



弓槻「彼祭さんいるしいいだろ。ああ〜、うめぇ」



ゆき「はぁ〜。おいしいです。はじめて飲みました」



弓槻「あはは。よかった」



ゆき「んー! お饅頭もおいしいです!」



侑希「……ほんとだ」



弓槻「な。たまにはこんな朝ごはんでもいいだろ」


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