ゆきちゃんと帰省編 その十四



侑希「ゆきちゃん、準備できた?」



ゆき「ちょっと待ってください。えっと、友だちへのお土産はどこだったけ……?」



侑希「ん? これじゃない?」



ゆき「あ、それです。ありがとうございます」



侑希「いやー、あっという間だったね。もうアパートに戻らないといけないなんて信じられないよ」



ゆき「そうですか? なんだかんだ二週間くらい続きましたよ?」



侑希「あ、ごめん。メタ的な話じゃなくて。そんなに長く滞在してないから」



ゆき「そうですね。さすがに私はさみしいです」



侑希「実家だからね。地元の友だちにあいさつはした?」



ゆき「はい」



侑希「親御さんには?」



ゆき「しましたよ」



侑希「よし、じゃあ、行こうか」



ゆき「はい」



侑希「あれ? 雪斗君は?」



ゆき「部屋にいると思いますよ」



侑希「……いいの?」



ゆき「はい。もう大丈夫です。雪斗もあまりかまわれたくないと思うので」



侑希「そっか。ほんとにもう行くよ」



ゆき「はい。早くしないと電車に遅れちゃいますもんね」



雪斗「……あ、あの、ねぇちゃん」



ゆき「あ、雪斗! わざわざ降りてきてくれたの?」



雪斗「あのさ……」



ゆき「?」



雪斗「もう、行くの?」



ゆき「うん。行くよ。またね」



雪斗「ちょっと……、その……」



ゆき「どうしたの?」



雪斗「その、おれ、昨日、試合があったんだけど……」



ゆき「うん」



雪斗「そこでさ、一人で、四点入れたんだ」



ゆき「……」



雪斗「だからさ、その……」



ゆき「うん」



雪斗「褒めてよ……」


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