松の子 〜ゆきちゃんと公園デート〜



「わあ! 大きな木がいっぱいですね」



「ほんとだ。たまには公園に来てみるのもいいもんだね」



「あまり行かない感じですか?」



「うん。公園に一人で行くことはないかな。ゆきちゃんはよく行くの?」



「そうですね。たまに教え子と遭遇するので楽しいですよ」



「子どもからすれば、遊び場に教師がいるなんて絶対に嫌だと思うけど」



「もしかしたら、そうかもしれませんね」



「まぁ、でも君ならいいか」



「そうですか? あ!」



「どうしたの?」



「見てください! 松ぼっくりです」



「……。松ぼっくりだね」



「へ? なんかテンション低くないですか?」



「だって、松ぼっくりだもん」



「ほら、松ぼっくりですよ」



「松ぼっくりだね」



「これ本物の松ぼっくりなんですよ」



「うん。だから、松ぼっくりだよ」



「なんかゲシュタルトさんが崩壊してきました」



「ほんとに。ゲシュタルトさんじゃないけどね」



「これって食べられるんでしょうか……?」



「食べるってゲシュタルト崩壊を?」



「そんなわけないじゃないですか! 松ぼっくりです」



「食べられるわけないじゃないですか!」


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