早すぎ 〜ゆきちゃんと冗談〜



「ねぇ! 侑希ゆうきさん!」



「ど、どうしたの? 冒頭からそんなに怒って」



「この前、十一月の終わりごろにクリスマスのネタをやったじゃないですか?」



「ネタって、漫才じゃないんだから」



「漫才みたいなものですよ」



「れっきとした文芸のつもりだったんだけど……」



「まぁ、そんな話は置いておいて。ほら、もうクリスマスだねって一ヶ月前に言うっていうネタだったじゃないですか?」



「うん、まぁ……」



「歩いてみるとほんとに街中クリスマス一色じゃないですか! コンビニとか駅とかで何回ベルの音を聞けばいいんですか!」



「いや、そんなこと僕に言われても……」



「テレビのコマーシャルだってクリスマスだらけですよ」



「ちょっと言い方が古いのが気になるけど、確かにそうだね」



「冗談のつもりだったのに、ネタがネタじゃなくなっちゃいましたね」



「だから、ネタって言わないで」


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