レストランにて 〜ゆきちゃんとメニュー〜



「あ! 見てください侑希ゆうきさん! このカレーライスすごくおいしそうじゃないですか?」



「……。うん。そうなんだけど……」



「あー、でもエビフライとオムライスも捨てがたいですね。うーん、侑希さんは決まりましたか?」



「いや、あの……」



「そうですよね。こんなにメニューがあったら迷っちゃいますよね」



「じゃなくて、これおかしくない?」



「何か変なメニューでもありましたか?」



「いや、なんで僕ら四人テーブルで横に並んで座ってるの?」



「へ?」



「普通向かい合わない? こういう時って」



「別によくないですか? こっちの方がメニューは二人で見やすいですよ」



「確かにメニューは見やすいけど。ほら、店員さんも二度見してるよ。誰か遅れてくるのかなって顔になってるし」



「隣じゃダメですか?」



「ダメじゃないけど、前のテーブルの人たちの後頭部見ながら食べることになっちゃうよ、これだと。せっかくだから君の顔を見ながら食べたいよ。僕が奥座っちゃったからできれば君に動いて欲しいんだけど……」



「確かにそうですね。わかりました。でもこっちの方がメニューが見やすいことには変わりないので、注文してから動きますね」



「この状況で注文したくないんだけど」


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