お菓子くれなきゃ…… 〜ゆきちゃんとのハロウィン〜



「おじゃまするよ。もう外はだいぶ寒くなってきたね」



「トリック・オア・トリート! お菓子くれきゃいたずらしちゃいますよ」



「あ、今日はハロウィンだったね。ごめん、すっかり忘れてた」



「もー。さんざん言ってたじゃないですか」



「ごめんって」



「じゃあ、いたずらしちゃいますね」



「まぁ、いいけど」



「実は侑希ゆうきさん忘れてるだろうなと思って、あらかじめいたずらをセットしてあるんです」



「何するの?」



「えへへ。実は侑希さんのアパートの目覚まし時計をセットしておいたんです」



「え?」



「あと三十分くらいですね」



「え? 何? ほんとに言ってる?」



「早く止めに行かないと隣の部屋の人とかに迷惑かかっちゃいますよ」



「待って、それやばくない? ってか、もし僕がお菓子持ってきてたとしても、目覚まし鳴るよね」



「その場合は私が走ってました」



「あ、そうなの。って、こんなこと言ってる場合じゃない。やばい、あと三十分で帰れるかな。待って、どうしよう、どうしよう!」



「侑希さん、侑希さん」



「?」



「えへへ。嘘です」



「……ほんとに?」



「ほんとに嘘です」



「はー、よかったぁ……」



「侑希さん」



「?」



「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ。私は駅前のプリンが食べたいです」



「今すぐ買ってきます!」


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