ほら、立てる?



「!? 待ってください! お兄さん!」



「ちょっとゆきちゃん! いきなり走り出してどうしたの!?」



「止まってください! お兄さん! って、きゃあ——」



「……だ、大丈夫? 盛大に転んだけど。ほら、立てる?」



「痛てて……。ごめんなさい。ありがとうございます」



「何かあったの?」



「その、今通り過ぎた自転車のスタンドが下がったままだったんですよ。何かに引っかかって転んだら大変だと思いまして」



「それで君が転んでどうするの」



「えへへ。ごめんなさい」


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