潮騒

ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。

規則正しく電車は進む。


電車に乗ったことがない、という話をしたとき、サーリヤはそれはそれは目をまん丸くして驚いたものだ。

今度一緒に電車で旅をしよう。そう言われたとき素直に頷いたのは、サーリヤとなら面白そうだと思ったからだった。移動するだけなら飛んだほうが早い。


俺とサーリヤは幼馴染だった。

おとなしく冷静なサーリヤと違って俺は血の気が多く、デコとボコ、正反対と言われることが多かった。


そんな俺たちは今、二人で電車に揺られている。

窓を流れる景色を眺めながら、なるほど悪くないもんだな、と考える。

隣のサーリヤは静かにそこにいるだけだ。もともとあまり騒ぐタイプじゃない。


心地よい揺れに浸っていると、チラチラと視線を感じた。無理もない、俺みたいなのはここでは目立つだろう。


アナウンスが車内に響いて、俺は荷物をまとめだした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る