一人称でアホな主人公は書けないよ!!
基本的に小説というものは、文字を連ねる方法さえ分かっていればだれでも書けるものです。理論上は。
ただ、それを人に読んでもらおうと思った瞬間、正確な語彙力と日本語の文法に則った表現方法を無視して書くことは、不可能に近いです。
小説の表現方法は、一人称と三人称の、大きく二つに分けられます。
この二つの大きな違いでよく言われるのは、個人の心情を掘り下げたいなら一人称、一つの自称を俯瞰で表現したいなら三人称が向いている、という説です。
個人的にも頷ける説なのですが、ここに一書き手として、一つ付け加えたいと思います。
一人称でアホな主人公は書けないよ!!
タイトルを含めて連呼してしまいました。
まあ、さっき思いついた程度のことですから穴があるかもしれませんが、気にせず続けます。
キャラクター構築の段階で重宝されるのは、いわゆる道化役と呼ばれる存在です。
秩序だった設定をかき乱し、周囲の迷惑もお構いなしに行動し、時には害悪としてすら語られる役目。
読み手の側からはなかなか想像しづらいかもしれませんが、書き手にとっては物語にドラスティックな刺激を与えてくれる、ありがたい存在なのです。
最近ブームのざまあ物は、まさに初期の主人公が道化役を演じて後半でひっくり返すという構図が定着していることからも、重要性が窺えます。
ただし、この道化役を主人公にした場合、一つ気をつけないといけないことがあります。
それこそが、アホを主人公にしてはいけない、という点です。
道化役には二種類います。
一つは賢い人物が周囲を騙すためにあえて道化を演じている場合と、本当の天然で何の作為もなく道化役に収まっている場合です。
主人公の語り出しとして、例を挙げてみましょう。
今日も継母は、俺がテストで良くない点数を取ったことを蔑んできた。全部お前を騙すためのフェイクだとも知らずに。
あー、またあのババアからテストのことでネチネチ言われちまったよ。実の親でもないくせによ。
お気づきだと思いますが、事象としては「テストで良くない点数を取り継母に叱られた」という全く同じものです。
ですが、どちらの方がこの後の展開を作りやすく、また面白くなりそうかと考えると、個人的には前者と答えるしかありません。
皆さんはどうでしょうか?
他にも、アホの自分語りでは小説として成り立たない根拠があるのですが、本来の執筆に支障をきたすので、今回はこの辺で。
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