6月8日 向日葵のような人

 この土日はバカンスです。久々に電車に乗って帰省します。運転したくないからね。自然にも癒されたいし。

 書き始めたのは海沿いの駅、柏崎を過ぎた頃。

 凪いだ海は穏やかで、珍しく空も雲ひとつ無かった。一本の飛行機雲がつう、と一筋。陽の光は柔らかくない日で、みんな半袖を着ていた。夏だな、と思った。


「向日葵のような人だね」


 先日、友達に言われた。私を花に例えるなら向日葵なんだとか。太陽に向かって真っ直ぐに育つ向日葵みたいなんだとか。真夏の風物詩、あの小さな太陽なんだとか。

 去年後輩に、向日葵の花を貰った。向日葵のような人だから、と彼女も言ってくれた。苦しい時期だったのに、私はあの子を含め、みんなの前で笑えていたのかな、明るく居れたのかな、なんて今更思ってしまったりした。

 最近も、私は向日葵なんかじゃないよ。教採まで1ヶ月切ってしまった。毎日毎日勉強して、食事もだんだん疎かに、伸び悩んで、自分の周りはどのくらい勉強しているのだろう、と怖々。手を伸ばして、もがいて、転んで派手に転がって。

 太陽に向かって伸びるように、私は目標に向かって背伸びしてる。隣の芝はもっと青いかもしれない。私が見ている方向は太陽でないかもしれない。

 それでも、光射す方にしか手は伸ばせない。


「向日葵のような人」


 真夏に咲く、小さな太陽。

 私は誰を照らしているの。


 手を伸ばして、真っ直ぐに、背伸びして。早く花が咲きますように。

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記憶の手帳 佐藤令都 @soosoo

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