　クレイジーダンスのビートに合わせて、漏れる言葉は後悔と嫉妬。助手席の君の言葉は止まらない。ハンドルを握る私も、きっとそう。

　知らないうちに失恋した相手、彼女できたんだって。びっくりするほどね、幸せそうだった。水族館のチケット見せて、そう、何度も見せて、柔らかく微笑むの。

　惜しいなぁ。この気持ちを何処にぶつければいいんだろう。私のどこが彼女と違ったんだろう。もしかしたら、の未来は結局机上の空論なのさ。

　夕飯食べにね、助手席に同期乗せてお店までドライブしてたの。彼も彼で思うところはあったみたいで「アイツに彼女が出来て俺にはなんで出来ないんだ？」って。私もなんで自分に彼氏出来ないのか謎。

　君は身長が低いかもしれない。でも私は隣でヒール履けるから問題ないっしょ。目付きが良くない？切れ長の目はかっこいいと思うよ。性格だって悪かないでしょ。陸上バカで、ストイックで、あと私以上の甘党。何よりも強みは絶対浮気しない。いいことしかないじゃんー、、、こんなにいい男なんで世の女がほおっておいてるんだよ。

　藤井（仮）の一件は私も幸せだけど悔しいよ。彼に恋人ができるんなら私だっていてもおかしくなくない？って思うもの。

「いっその事、ウチらが付き合ってみる笑？」

　冗談交じりに言わなかったらどうだったん。「それはただの事故やお」って君は笑ったけど。まぁ、これもきっともうひとつの机上の空論なんだよね。

　あんたのそういう真面目さがいじらしくて、愛おしくて、時々大嫌いだったりするんだ。