3月19日 るいと稔。私と祖父。
信じるか信じないかはあなた次第だけど、私はいつも事実を書いているからっていう断りを入れておくね。
祖父が亡くなってから初めてのお彼岸です。
家族でリッチにお寿司を取って食べました。
じい、ごめんね。マグロは生物だから仏様にあげられないんだわ。海苔巻で勘弁してね。
祖母のところには、まだ祖父が夢枕に立つらしいです。
祖母がうたた寝をしてると祖父に起こされるらしいです。なんか微笑ましい。
私はこの前、一緒にカレー食べてた。ちなみに祖父の好物という訳では無い、はず。
本日はそんなお茶目な祖父のお話をしようと思います。
祖父は、よくわからないが恐らく現世にすごく執着しているのではなかろうか、と家族間で話題になるくらい、よく夢に出てきます。注 : 佐藤家は誰も霊感は持っていない。
亡くなる一週間前に妹の夢に出てきたそうです。まあ、以外とよく聞くよね。虫の知らせ的な?
お通夜の日。お寺さんがお経読んでくださるじゃないですか。私、あんまりいい声だから気持ちよくなって寝ちゃって(失礼)、お焼香の時間だなって喪主の父の方見たら、立ってたんですよ。祖父が。父の前に。一生懸命何か伝えようとしてることはわかるんだけど、声までは聞こえなくて。頑張って声を聞こうと思って耳をすましてたらさ、母に起こされました。泣きながら後で逆ギレした。
三七日ってご存知? 三途の川を渡る日のことをさすんですけど、この日も祖父は会いに来てくれました。
夜中にピンポンが鳴ったんですよ。私、朝起きた時も覚えてたんですけど、夢の中の話だと思ってて。そしたらさ、夕飯食べながら母が「夜中に家のピンポン鳴ったの気付いた?」って言うんですよ。「新聞配達の人がぶつかったんじゃない」って、そうじゃなきゃおかしいからの思いを込めて答えると、「うちのピンポン、ポストと反対側にあるんだよ」と真面目な顔で返されました。背筋にツゥと冷たい何かが流れた気がしました。「しかもさ、鳴った時間、じいが亡くなった時間と同じなんよ」と。
最期にお別れ言いに来たんね。玄関開けなくてごめん。
五七日。この日は父を訪れたそうです。
土砂降りの中傘も差さずに来たのか、ずぶ濡れで、ものすごく動きが忙しなかったらしいです。せっかちな人だったからね。わかる。
「俺、もうこっち着いたから」と言い残し、颯爽と雨の中帰っていった。だいぶ若返って五十代くらいの見た目だったらしい。お隣にもう一人いたって父は言ってたけど、あっちでおじさん(祖父の弟)に会えたんろっかね?
祖父のいない大晦日。
この日のね、祖母の様子、まるっきり祖父だったんよ。
ご飯の食べ方、好き嫌い、話し方。
普段の祖母とちょっと違うなっていう些細な違和感。よくよく考えると祖父の癖だった。いや、祖父だった。
ファンタジーの世界だと思ってた。ノンフィクション……
四十九日は受験直前だったけど、一緒にお経読んで、納骨してきました。その日からぱったり夢に出てこなくなった。
はずだった。
未だにちょいちょい出てくる。
じい、そんなにあっちの世はつまらない?
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