第96話 エピローグ

 牧場主のガレリアさんとその奥さんのソニアさんに、久々に挨拶。手紙ではいつもやり取りしてるんだけどね。


 最新アイスの味見をさせてもらって。


 こっちからはチョコレートの提供とランテルムの商人トレディンさんとその娘、チョコ開発者のカティーさんの紹介や、チーズ工房との業務提携の確認等。


 うん、スイーツ普及に向けて順調なようだ。


 アタシがこれからアーティザン王国を出るので、ギルド経由でも簡単に連絡が着かないかもしれない事を伝えると、ソニアさん達は残念がってくれた。


 けど、魔道船を使った屋台でスイーツ普及活動する事と、実物見せると大喜び。


 この魔道船、横っ腹が開いて、キッチンカウンター形式のスイーツショップになるんだぜい!


 時々仕入れに来ることを約束して、アタシ達は冒険者ギルド出張所のエデンさんの所へ。



「まあ、なんだ、国もギルドもお前さんには随分と迷惑掛けちまったな」


 エデンさんはアタシとの再会を喜んでくれたけど、済まなそうにそう言って。俺にもっと力があれば、 なんてイケオジが黄昏ると色気がヤバ谷園だなあ。


「ここに来てくれた事は黙ってた方が良いか?それとも報告した方が良いか?」

「エデンさんの迷惑にならないように好きにして」

「それなら……ペネロッテはあまり無理強いせずにその都度協力をお願いするのが賢いつきあい方だと、上申付きで報告しておく」


 エデンさん……やっぱり判ってるなあ。


 アタシが人里に降りてきて最初に相手してくれた冒険者ギルドの人。この人が良くしてくれなかったらアタシは冒険者になれなかったと思う。


「エデンさんのお陰で、アタシは冒険者になれて、いろんな人と出会って友達も出来たよ。エデンさんにはスッゴく感謝してる」


 アタシがそう言うと、エデンさんはカウンターから出て来て、アタシの頭にポンって手をおいて撫でてくれた。


「世界を楽しめよ。生きている以上、誰もが世界を楽しむ権利がある。それを邪魔する奴は敵で、冒険者は自由が信条だ」


 そりゃあ、少しはルールってモンが有るけどな、と困ったような表情でエデンさんは付け加えるけども。


 アタシは、エデンさんにギュウっと抱きついた。


「……またね、エデンさん」

「行ってこい。たまには顔を見せてくれ……それと」


 アタシは顔を上げて上目でエデンさんを見ると。




「し、死ぬ……」



 アタシの怪力に、エデンさんは悶絶していた……



 慌て包容を解くアタシと、ケラケラと外野で笑うスーリヤ、ベゼリー、ナツコさん達。



 どうせアタシはメスオーガですよぉ!




 アタシ達はエデンさんに別れを告げ、魔道船で山を登る。


 途中、ガイア師匠が住み着いていたログハウスに寄ったけど不在だった。たまたま、じゃなくて暫く居ない様子だから、師匠も旅に出たのかもね。


 アタシはまだ、住みかとしての家と言うか帰る場所を見つけてないけども、当面は魔道船が家かなあ。


 そこにスーリヤとベゼリーも居てくれるってことが、なんだか取っても嬉しくて。


 山を越えた先にはどんな世界があるんだろうか?


 どんなとこでも、仲間と帰る家があるならやっていけそうだ。


 これで後は、美味しい食べ物があれば!


「まだ見ぬスイーツのネタを探して山越えだー!」


 アタシのスイーツ探しの旅はこれからも続くよぉっ!




 第一部 完





 ここまで読んで頂いてありがとうございます。

「メスオーガの進化先は美少女でした。」は、これにて第一部 完となります。


 目標とした10万字と毎日更新、なんとか出来ました。


 プロットは第三部までありますが、ここから先は人気次第、ですね。


 自分としてはスランプ脱出と守破離も課題でしたのでひとまず満足です。


 ……入院の暇を良い方向に使えたということで。現在は仕事に復帰して元気にしております。


 もう一作、書いて腕を磨いてから、メイン作品に戻りたいと思ってますが……大分時間を開けてしまいましてorz


 よろしければ拙作もご覧下さい。


武器無しソードマスター ~ルイン・ブリンガーズ前日譚~

https://ncode.syosetu.com/n0988db/


異世界冒険戦記 ルイン・ブリンガーズ

https://ncode.syosetu.com/n5867cl/


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