第9話 影空間に潜る
次の日の朝。
大婆の姿が見えない。どこか出掛けてるのかな?
ちなみに、元々はしわくちゃで小さい、でも、存在が大きい意味で大婆って呼んでたんだけど。若いときは、槍使いとしてすごかったらしくて。だから、習いに通ってた。
今じゃ、ハイ・オーガとなってホントに大きくなったけど、もう婆ではないんだよねえ……ってか、夕べ、婆呼ばわりはもう止めるよう、釘刺されたよ。
そんな訳で、大婆改め、ガイア師匠と呼ぶことになりました。
ガイア師匠は錬金術持ってないので、ちょっと気がついた所を補助してあげようかな。一宿一飯の恩義って奴だね。
アタシは外に出ると、色々とその辺で採集を始める。アタシの鑑定は錬金術に付随しているので、素材採集時点では何も判らない。いざ、錬金の際にサポートとして鑑定される感じ。
だから、手当たり次第な役立ちそうなものを集めて、何ができるかはそれからって感じかな。
ログハウス中心に周囲を歩きながら次第に探索範囲を拡げると、でっかいクモの巣発見。上を見ると、昨日も倒した大蜘蛛がいる。
わざと持久戦にして、近くで折った小枝にたっぷりと蜘蛛の糸をゲット!
〆は蜘蛛本体も倒して影収納へ。
次に大鹿を発見!
でも、こいつは狂暴じゃないし、近づこうとすると逃げるんだよね。さて、どうするか(逃がすつもりはない)。
影魔法を試そう。
影空間収納に、まずは自分で入る。
中の感じは、月の明るい夜のような世界。収納したものがそこらに置いてある。そして外の様子が半透明に重なって見える。
この影空間の中を歩いて、大鹿の頭の下に到着。後は槍を構えて、影から飛び出すと同時に顎下から突き刺す!
ピコーン!
『影魔法LVが3になりました。影異相転移を覚えました』
脳内にアナウンスが流れたよ!
それと同時に新スキルの情報も入ってきた。
影異相転移:
平行する異相空間に身体を移し、現界から消える。異相空間内は現界を半透明に重ねつつ把握可能で、異相空間内を歩くことにより、現界再出現時に現界の障害物を越えることが出来る。
異相空間への自分の投影率を巨大化すれば、現界における長大距離を一跨ぎも可能。
なんか、すごそうだね。投影率のとこが良く判らないけど、とりま、それは後。
大鹿は一撃で仕留めることが出来たので、これもそのまま影空間に収納する。
これって、まんま暗殺向けだし、障害物無視って凄くない!?
鍵付き倉庫とか、アタシにとっては敵じゃなくなるね。進んで犯罪者になるつもりもないけどさ。
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