第4話 助けられた命
私は、木から落ちそうになっていたコーリエ様を魔法で助けた。
様々な要因から、私は外に出ることにした。裸足のまま、屋根裏部屋から妾の子が下りていくのだ。二人も、大いに驚くことだろう。
「えっ?」
「あ、あなたは……」
「えっと……二人とも、こんにちは」
予想通り、ケルヴィル様もコーリエ様も二人はかなり驚いていた。
それは当然だろう。妾の子の姉が、屋根裏部屋からゆっくりと下りてきて、驚かないという方が無理である。
それを気にせず、私はコーリエ様の体を下していく。近づいたことで、ゆっくりと安全に下ろすことができる。
「え?」
「あっ……」
その行為に、二人は理解してくれたようだ。私がコーリエ様を助けたのだと。
そのまま、私はコーリエ様をゆっくりと地面に下ろしていく。
だが、それだけで終わらない。まだ、木の上にいる子猫を助ける必要がある。
「はあっ……」
「ニャア……」
私は、魔法を使って子猫を木の上から下していく。
子猫は、不思議そうな顔をしながら、私の手の中に納まった。意外なことに、子猫は暴れたりしない。結構、図太い性格であるようだ。
「えっと……」
私は、子猫を抱きながら二人の方を向いた。
二人とも、少し気まずそうな顔をしている。恐らく、私に対してどう接していいのかわからないのだろう。幼い二人にとって、私という存在はかなり厄介なものであるはずだ。
私は、ケルヴィル様やコーリエ様とはあまり関わったことがない。屋根裏部屋に籠っていることもあるが、二人はそもそも私に関わらないように言われているのだ。
それは、二人の母親であるカルニラ様の教育によるものである。カルニア様は、汚らわしい私には関わる必要がないという思考なので、二人には私と関わらせないようにしているのだ。
「あ、ありがとうございます……」
「あっ! ありがとうございます」
二人は、私に対してお礼を言ってきた。
流石に、助けられたからお礼を言ったのだろう。
関わっていないからか、二人は比較的私に対して敵意を向けてきたりしない。だから、私にお礼を言うことができるのだろう。
他の公爵家の人間なら、私にお礼を言ったりしないはずである。助けられても、文句を言ってくる可能性が高いと思う。
「見事でしたね……」
「え?」
そんなことを考えていた私の耳に、若い男性の声が聞こえてきた。
その声は、今まで私が聞いたことがないような声だ。
屋根裏に籠っているとはいえ、この屋敷の人間の声くらいは大体把握している。使用人なら、このような話しかけ方はしないだろう。
それらを総合すると、私に話しかけてきた人物が誰かがわかる。
「フリムド様……?」
「ええ、よくわかりましたね」
私達の前に現れたのは、第三王子のフリムド様であるようだ。
そんな大物がいきなり現れるとは、とても驚きである。
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