第七百三話 高橋悠里は要からのメッセージと添付された写真を確認して返信し、晴菜からのメッセージで銀貨5枚を貸して返してもらっていないと気づく

悠里は自室のベッドの上で目を開けた。

無事にログアウトできたようだ。

悠里は横たわっていたベッドから起き上がり、ヘッドギアを外して電源を切る。

それからゲーム機の電源を切った。


「ゲーム機器とか充電しよう」


悠里はゲーム機器を充電した後に伸びをして、スマホを手にする。

『アルカディアオンライン』で一緒に遊ぼうと誘ってくれて、会いに来てくれた要……ユリエルとは結局遊べず、彼には迷惑をかけてしまった。


スマホの画面に視線を向けた悠里は要と晴菜からメッセージが来ていた。

どちらのメッセージを先に読むか迷った悠里は、先に届いていた要からのメッセージから確認することにする。


「要先輩からのメッセージ、写真が添付されてる。なんだろ? あ、私がプレゼントしたチョコチップクッキーの写真……!!」


写真は、真っ白な平皿の上に綺麗に並べられたチョコチップクッキーと、すっきりとしたフォルムのマグカップの写真だった。

テーブルは濃い茶色で、光沢がある。高級家具……という感じがする。要に似合うと悠里は思った。


添付された写真を見終えた悠里は要からのメッセージの文章に目を通し始めた。





悠里ちゃん。チョコチップクッキーすごくおいしかったよ。ありがとう。

母親がチョコチップクッキーを食べたがったので、一枚だけ譲ったんだけど、もっと食べたいってうるさくてウザかった。


これから『アルカディアオンライン』にログインする予定なので、時間が合ったら一緒に遊ぼうね。





悠里は要からのメッセージを読み終えて口を開いた。


「要先輩、このメッセージを送ってくれた後に『アルカディアオンライン』にログインして私にメッセージを送ってくれたんだね。返信しよう」


悠里はそう言いながら、要への返信を書き始める。





要先輩、写真とメッセージをありがとうございます!!

チョコチップクッキー、おいしく食べて貰えてすごく嬉しいです。ありがとうございます。

要先輩のお母さんにも食べて貰えて嬉しいです。


ゲームでは、一緒に遊べなくてごめんなさい。ユリエル様と一緒に遊びたかったです!!

あと、マリーのお母さんが妊娠したことがわかりました。マリーはお姉ちゃんになります!!

私、リアルでは一人っ子なのでゲームの中だけでも弟か妹ができるのは嬉しいです。

要先輩は兄弟、いますか? もしよかったら教えてください。





悠里は要へのメッセージを読み返して送信した。

そして、晴菜からのメッセージを表示させる。





悠里。あたし、前にマリーに商人ギルドの登録の時に借りた銀貨5枚、まだ返してないよね?

さっき思い出したの。借りっぱなしにしててごめん。

今日『アルカディアオンライン』にログインする?





悠里は晴菜からのメッセージを読み終えて首を傾げ、口を開いた。


「私、はるちゃん……マーキースにお金貸してたっけ? 返してもらってなかったんだ。全然覚えてない」


悠里はそう呟いて、晴菜に返信を書き始めた。





はるちゃん、私今、メッセージを読んだよ。

お金貸してたことも返してもらってないことも全然覚えてないから気にしないで。


今は『アルカディアオンライン』は夜か真夜中で、それでマリーのお祖母ちゃんに外に出たらダメだって言われたからログアウトしたの。

今度会った時に銀貨5枚、返してもらってもいい?





悠里は晴菜へのメッセージを読み返して送信した。


「メッセージの返信、終わりっ。……うわ。もう22:00過ぎてる。時間が経つのが早すぎる」


悠里はスマホの画面の時刻を見てそう呟き、スマホを充電して、明日の学校の準備をした後にトイレに行って就寝した。



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