第六百九十四話 高橋悠里は情報屋からのメッセージに慌てて返信をしてマリー・エドワーズと真珠は教会に死に戻り、情報屋のルームに急ぐ



悠里がステータス画面を消した直後に可愛らしいハープの音が鳴った。

フレンドからの返信が来たようだ。マリーはフレンドからのメッセージを確認する。


「情報屋さんからのメッセージだ」


悠里はそう言いながら情報屋からのメッセージを読み始めた。





マリーさん。売りたい情報があるということですが、今からなら時間が取れます。

いつものように私の『ルーム』にお越しください。

5分間返信がなければ別の顧客との商談をしますので、至急返信をお願いします。





情報屋からのメッセージを読み終えた悠里は慌てて返信を書き始めた。





情報屋さん!! 私、今ログインしました!!

すぐに教会に死に戻って、情報屋さんの『ルーム』に行きます!!





悠里は情報屋へのメッセージを送信して口を開く。


「返信終了っ。じゃあ、私、ゲームをプレイしますね」


「それでは、素敵なゲームライフをお送りください」


サポートAIの声に送られ、悠里は鏡の中に入っていった。


マリーが目を開けると、部屋の中にはオレンジ色の光が差し込んでいる。

今のゲーム内の時間帯は『夕方』なのかもしれない。

部屋の中には両親の姿はなかった。これで、怒られずに『死に戻り』で外出できるとマリーは思う。


寝巻を着ていたマリーは左手の薬指にユリエルから贈られた『最愛の指輪』をしていることを確かめた後、起きた真珠をぎゅっと抱きしめてから急いで寝巻を脱ぎ、半袖のワンピースに着替えた。

急いでいるので寝巻は畳まずにベッドの上に放り投げる。

それから、慌ただしく支度をしているマリーをお座りをして見つめている真珠に視線を向けて口を開いた。


「真珠っ。今から教会に死に戻って情報屋さんの『ルーム』に行くからねっ」


「わんっ」


マリーの言葉に真珠は肯く。

マリーは『ライト』を使いまくって魔力枯渇になり、真珠と共に教会に死に戻った。


教会に死に戻ったマリーと真珠は『復活の間』に立っている。

リアルでは月曜日の夜なので『復活の間』にいるプレイヤーの数は多かった。

『アルカディアオンライン』はゲームなので、誰もマスクをつけていないし、近づいて喋ることを怖がる人もいない。

マスクだらけのリアルの生活を終えた夜、プレイヤーたちは新型コロナに脅かされずに『アルカディアオンライン』を楽しんでいる。


「真珠、フローラ・カフェのカウンターに行こうっ」


「わんっ」


マリーと真珠はフローラ・カフェ港町アヴィラ支店に続く扉に向かって走り、扉を開けた。

そしてフローラ・カフェ港町アヴィラ支店のカウンターで神官に情報屋の『ルーム』に続く階段を出現させてもらう。


「真珠、行こうっ」


「わんっ」


真珠はマリーが階段に乗ったことを確認して『下りON』と勇ましく吠え、階段が動き出すと、マリーは動く階段を駆け下りた。

真珠もマリーに続く。

階段があと五段というところでマリーはジャンプして着地し、真珠も華麗にジャンプし、着地した。

マリーと真珠は視線を合わせて微笑み、そして情報屋の『ルーム』に駆け込む。


「情報屋さんっ。マリーと真珠が来ましたっ」


「わんわんっ」


クラシックな書斎風の『ルーム』で重厚な机に置いてあるノートパソコンを操作していた情報屋がマリーと真珠を見て立ち上がり、微笑む。


「いらっしゃい。マリーさん、真珠くん。早かったですね。さあ、ソファーに掛けてください」


「はいっ」


「わんっ」


マリーと真珠は長方形のテーブルを囲むように配置された皮張りのソファーに座る。

情報屋はマリーと真珠の向かい側のソファーに座った。


***


マリー・エドワーズのスキル経験値が上昇


ライト レベル3(20/200) → ライト レベル3(30/200)


マリー・エドワーズのMP最大値が上昇 MP 60/60 → MP 0/61


風月25日 夕方(4時10分)=5月24日 20:10

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