第五百九十四話 マリー・エドワーズと真珠はベッドに横になり、マリーはリープして高橋悠里はワールドクエスト『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』の隠し達成条件に目を通す



マリーと真珠は無事に二階のベッドのある部屋にたどり着いた。

マリーは真珠を見つめて口を開く。


「真珠。今日は安全のために、真珠を抱っこして仰向けにしてあげられないの。足、汚れたままでベッドの上に乗ってくれる?」


「わんっ」


真珠はマリーの最大HP値が1であるという非常事態をきちんと理解している。

だから駄々をこねず、文句も言わずに汚れた足でベッドに飛び乗った。


マリーは真珠がベッドに飛び乗った後、ベッドに静かに腰を下ろして『疾風のブーツ』を脱ぎ、左腕の腕輪に触れさせてアイテムボックスに収納する。

そしてマリーは寝巻に着替えず、そのまま真珠の隣に横たわり、真珠を見つめて口を開いた。


「真珠。今日は本当にお疲れさま。おうちまでの道案内とか、頑張ってくれてありがとう」


「わんわんっ。わうー」


マリーと真珠は微笑み合い、そしてマリーは口を開く。


「リープ」


マリーの意識は暗転した。


気がつくと、悠里は転送の間に立っていた。

無事にリープできたようだ。


「『転送の間』へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様。アイテムボックスにワールドクエスト『鑑定師ギルドの副ギルドマスターの指輪選び』のキーアイテム『招待状』が届いています。ゲーム開始後にご確認ください」


「そうなんだ。今回は前回より、パーティーの招待状が届くの、早い気がする……。まずはクエストの確認をしますね。ステータス」


悠里はステータス画面を出現させて『クエスト確認』をタップした。

新たな画面が表示される。


悠里はワールドクエストをタップして、一覧から『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』を選んでタップした。


悠里の目の前にはワールドクエスト『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』のクエスト内容が表示された。





クエスト名 ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防【未受注】



ヘヴン島を作り上げた偉大な錬金術師であり魔術師でもあるモイラ・レッドモンドがヘヴン島でヘヴンズコインが尽きた人々を錬金アイテム『呪縛の鎖』で自らの配下にしていることが発覚した。


プレイヤーは『生命の水』を飲み、不老になった美女モイラ・レッドモンドに味方し、ヘヴン島の存続を望むのか、それともモイラ・レッドモンドに呪縛されて苦しむ人々を助ける道を選ぶのか……。



クエスト発生条件



プレイヤーがヘヴン島のNPCの腕に嵌められた錬金アイテム『呪縛の鎖』の存在に気づき、錬金術師であり魔術師でもあるモイラ・レッドモンドを訪ねて彼女に喧嘩を売る



クエスト達成条件(隠し達成条件を達成)



モイラ・レッドモンドの殺害



隠し達成条件 モイラ・レッドモンドに錬金アイテム『呪縛の鎖』を無効化させ、モイラ・レッドモンドと共にヘヴン島を脱出


クエスト達成に貢献・協力したと見做されたプレイヤーにはクエスト達成後にワールドクエストポイント『WP』が付与されます。


ワールドクエストポイントはリズ、スキルポイントの他、様々な装備品や装飾品、アイテム等と交換できます。

ワールドクエストポイントには交換期限があります。


交換期限が過ぎたポイントは1wp=1リズとして自動変換され、該当プレイヤーのアイテムボックスに、通貨が自動的に付与されます。





悠里はワールドクエスト『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』の隠し達成条件に目を通し終え、口を開く。


「『呪縛の鎖』ってヘヴン島の宿屋のお姉さんの腕にあった黒い鎖みたいなアクセサリーのことっぽいよね。あのお姉さんも自由になれたってことかな? でも怖そうなチェーンクエストが発生してたよね……」


悠里はワールドクエスト『玄武覚醒 移動する島ヘルアンドヘヴンから脱出せよ!!』のクエスト内容を確認することにした。



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