第五百十九話 マリー・エドワーズは『銀のうさぎ亭』のベッドの上で目覚めて『ライト』で部屋の様子を確認した後にユリエルにメッセージを送信する



マリーはベッドの上で目覚めた。

視界に映るのは見慣れた天井だと思う。部屋の中は暗くて良く見えないけれど、たぶん、おそらく。

どうやら、マリーは『銀のうさぎ亭』の二階にある部屋にいるようだ。

マリーがいるということは真珠も一緒にいるだろう。

マリーは真珠の姿を探して視線をさ迷わせながら口を開いた。


「真珠」


「わんわんっ。わうー」


真珠はマリーの隣にいた。よかった。

マリーは真珠に微笑み、真珠をぎゅっと抱きしめた。


「おはよう。真珠」


ゲーム内時間もリアルも夜だけれど、目覚めたら『おはよう』と挨拶するのだ。


「わううぅ。わうー」


真珠もマリーに挨拶を返す。

マリーは部屋の様子を見るために『ライト』を唱えて光の玉を出現させた。

ステータス画面を出現させても明かりにはなるけれど、それではステータス画面が見えない真珠は暗いままになってしまう。


マリーは『ライト』の光で部屋の中を確認した。

ベッドには母親ひとりが眠っている。

大音量のいびきが聞こえない時点で、父親は部屋にいないだろうという気はしていた。


マリーは寝巻を着ている。

母親か祖母が着替えさせてくれたのだろう。


「部屋と状況の確認、終わりっ」


マリーは寝ている母親を起こさないように小声でそう言った後、ステータス画面を出現させてユリエルへのメッセージを書き始める。





ユリエル様。メッセージをありがとうございます!!

私と真珠は今『銀のうさぎ亭』の二階のベッドのある部屋にいます。

ユリエル様と一緒に遊びたいんですけど、今はたぶん、夜か真夜中だと思うので、おうちから出るのは難しいです。

私と真珠、この前、お母さんにめちゃくちゃ怒られたので、しばらく良い子にしていたいのです……。


ユリエル様がよければ『銀のうさぎ亭』で一緒に遊びませんか?

返信を待っています。





マリーは自分が書いたメッセージを読み直してユリエルに送信した。


***


マリー・エドワーズのスキル経験値が増加


ライト レベル2(180/200)→ ライト レベル2(185/200)


風月9日 夜(5時25分)=5月20日 21:25

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