第四百八十九話 マリー・エドワーズは現在のステータス値を確認してマギーは領主館に向かい、マリーは失恋するかもしれないフレンドのことを思って心を痛める



マリーは改めて今の自分のステータス値を見つめる。

種族レベルが4に上がっていることには気づいていたが、その他の能力値の数値等はよく見ていなかった。





マリー・エドワーズ



女性/5歳



高橋悠里の依代



状態:正常



種族:ヒューマン/レベル4(502/3000)



能力値



HP 1/16


MP 40/40



STR 6


DEF 4


INT 8


DEX 12


AGI 56


CHA 11


LUC 23



ユニークスキル


ステータス閲覧 スキル習得 不滅の恩寵 アイテムボックス


レアスキル


リープ ログアウト クローズ


コモンスキル


掃除 レベル1( 35/100)  テイム レベル2(78/100)  アイスボール レベル1(5/100)  接客 レベル1(35/100)  魔力視 レベル1(57/100)  アイスハート レベル1(5/100)  魔力操作 レベル3(15/300)  淑女の嗜み レベル1( 54/100)  アイススター レベル1(5/100)  アイスキューブ レベル1(10/100)  ライト レベル2(150/200)  料理 レベル1(1/100)  祈り レベル0(40/100)


デメリットスキル


大泣き レベル1( 35/100)



所持金 3492401リズ 


スキルポイント 4059P



行動履歴確認  転送の間  スキル習得  アイテムボックス  各種図鑑  プレイヤーレベル/善行値確認  フレンド機能  クエスト確認  ゆるふわ機能





マリーが自分のステータス値を見ているとマギーが立ち上がり、口を開いた。


「私、そろそろ行くわね。フレデリック様と会う約束をして『最愛の指輪』を贈らなくちゃいけないから」


「え……っ?」


マギーの言葉を聞いたマリーはステータス画面から目を離してマギーに視線を向けた。

今、アーシャが領主館でレーン卿に『最愛の指輪』を贈ろうとしていることをマリーは知っている。

マリーはアーシャの恋が成就するようにと応援している。でもマギーに失恋してほしいだなんて、思っていない……!!


「マリーちゃん。フレデリック様のことで何か知ってるのね?」


「あ……。えっと……」


強く射るようなマギーの視線を受け止めきれず、マリーは視線をさ迷わせながら俯く。


「悠長に手紙を送ってる場合じゃないかも。今から領主館に行ってくる」


マギーはそう言って風のような速さで情報屋の『ルーム』を出て行った。


「マギーさん……。行っちゃった……」


泣きそうな顔で言うマリーを見て真珠は心配になり、クレムは首を傾げて口を開いた。


「マギーが領主館に行っちゃダメなのか?」


「今、領主館にはアーシャさんがいるの。アーシャさんもレーン卿に『最愛の指輪』を渡そうとしてるの……」


「それは面白そうですね」


気楽に言う情報屋に、マリーは恨めし気な視線を向ける。


「マギーかアーシャのどっちかがフラれるか、それともどっちもフラれるかなんだな。だからマリーは泣きそうな顔で心配してるのか」


クレムはかつて、アーシャとパーティーを組んだことがあるが、特に親しいわけではないのでマリーほどにはアーシャの心配をしていない。

クレムの言葉を聞いたマリーはステータス画面を消して深いため息を吐き、口を開いた。


「私、今まで複数の女子キャラをはべらせる男主人公って気持ち悪くて大嫌いだと思ってたし、ハーレム物とか生理的に無理なんだけど、レーン卿はハーレムを作るべきだと思う。そうしたらアーシャさんもマギーさんも、それからワールドクエスト『鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー』にいた女の人たちも皆、レーン卿の恋人になれるでしょう?」


「それって結局、大勢の中の一人にしか過ぎないって意味では空しくね? オレだったら嫌だな」


「確かに、クレムくんに言うことにも一理ありますね」


「くぅん……」


「だったら、レーン卿の人数が増えればよくない? ゲームデータだからそういうことができそうじゃない?」


マリーの提案を聞いたクレムと情報屋は微妙な顔をした。

真珠はマリーの言葉の意味がわからなかったので首を傾げる。


「手抜き制作のRPGで敵キャラとかモブキャラとか同じ顔グラフィックだったりすると萎えるから、同じ顔ばっかり見るっていうのはオレは嫌だな」


「レーン卿は鑑定師ギルドの副ギルドマスターでもありますよね。レーン卿のグラフィックを増やすことができたとしても、鑑定師ギルドの副ギルドマスターの地位を増やすことは不可能ではないでしょうか」


クレムと情報屋の言葉を聞いたマリーはがっくりと肩を落とした。

情報屋は落ち込むマリーに微笑んで口を開く。


「『アルカディアオンライン』には美形NPCが多く存在していて、新たな美形キャラNPCも続々追加されているようです。美形NPCの情報は随時集めていますので、失恋したプレイヤーがいたらそのようにお伝え頂ければと思います」


「情報屋。いつでも情報屋ロールのその姿勢、オレは嫌いじゃないぜ」


「私は失恋して悲しんでいる人に『次の恋をしよう。美形キャラはいっぱいいるよ』とか言えない……」


「くぅん……」


「では、マリーさんのデメリットスキル『大泣き』の情報の報酬の計算をしますね」


情報屋はマイペースにそう言って、黒皮の手帳に計算式を書き始めた。


***


※マリー・エドワーズが現在AGI値56なのは『疾風のブーツ』(AGI値+50)を装備しているため。本来のAGI値は6である


風月8日 夜(5時07分)=5月20日 15:07



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