第四百十七話 高橋悠里は転送の間でワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』が達成されたことを知り、ワールドクエストポイントの確認をして、WPを交換する



『アルカディアオンライン』にログインした悠里は、気がつくと転送の間に立っていた。


「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様。ワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』が達成されました。WPを交換する場合はワタシにお申し付けください」


「えっ!? ワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』が達成されたの!? なんで!? 誰が達成してくれたの!?」


サポートAIのアナウンスに驚いた悠里が叫ぶ。


「ゲームのネタバレに関する事柄に関してはお答えしかねます」


「サポートAIさんはネタバレに厳しい……。ステータス」


悠里はステータス画面を呼び出して『クエスト確認』をタップした。

新たな画面が表示される。

悠里は『ワールドクエスト』をタップして『消えた孤児たちを追え!!』に指で触れた。

新たな画面が表示される。

悠里はワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』が【達成済み】になっていることを確認した。


「すごい。私、ワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』を達成するのは無理だと思ってた……。えっと、ワールドクエストポイントの確認をしたいです」


「高橋悠里様のワールドクエストリザルトをお伝えします。


マリー・エドワーズがワールドクエストを強制受託、1WP獲得。

マリー・エドワーズが消えた孤児たちの行き先を特定、100WP獲得。

マリー・エドワーズが『クエスト達成者』にフレンド機能で協力を依頼、10WP獲得。

マリー・エドワーズがワールドクエストを達成、100WP獲得。


獲得合計WPは211です」


「フレンド機能を使ってフレンドにメッセージを送ったことが評価されたりするんだね。なんか嬉しい。サポートAIさん。私、WP交換したいです」


「ワールドクエストポイント交換カタログを表示しますか?」


「お願いします」


悠里の前に『ワールドクエストポイント交換カタログ』と表示された画面が現れた。


「『ワールドクエストポイント交換カタログ』には高橋悠里様の所持WPで交換可能なものだけを表示しています。また、必要WPの他、ワールドクエストの際に条件を満たした場合、入手可能な装備品、装飾品、アイテム等がございます」


サポートAIの説明を聞きながら、悠里は『ワールドクエストポイント交換カタログ』の画面を見つめる。





ワールドクエストポイント交換カタログ  所持WP211


ワールドクエストポイント交換期間 5月16日から5月26日 24:00まで



交換商品



ゲーム内通貨 1WP=1リズ


スキルポイント1WP=1SP


港町アヴィラの孤児院の院長からの感謝の手紙 必要WP1


識別の虫眼鏡 必要WP100


ボトルシップ 必要WP200





悠里が交換可能なものは、三項目しかないようだ。

ゲーム内通貨とスキルポイントは、詳細を見なくてもいいだろう。

悠里は一番必要WPが少ない『港町アヴィラの孤児院の院長からの感謝の手紙』をタップした。





港町アヴィラの孤児院の院長からの感謝の手紙【所持数制限1/譲渡・売買不可】


アイテム/Cランク。


港町アヴィラの孤児院の院長からの感謝の手紙。

孤児を無事に取り戻したことへの感謝の気持ちが几帳面な文字で綴られている。


この手紙を港町アヴィラの孤児院で見せると、一か月につき一泊二日だけ無料で食事や宿泊ができる。

NPC善行値が一定値以下の場合は孤児院への立ち入りを拒否される場合がある。


一か月につき二度以上この手紙を使用して孤児院を利用しようとした場合はNPC善行値が下がる。



入手条件


ワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』を達成し、孤児たちが誰一人として死亡・怪我をしていない。(クエスト達成時に孤児たちを回復していて万全の状態にしている場合も可)



交換する【要WP1】/交換しない




「うーん。私は……これはいらないかなあ……」


悠里は『港町アヴィラの孤児院の院長からの感謝の手紙』の説明文を読んで呟く。

マリーの家は港町アヴィラの『銀のうさぎ亭』だ。

自分用のベッドもある。

それに悠里はワールドクエスト『狼王襲来・港町アヴィラ攻防戦』のWP交換で『港町アヴィラ領主の感謝状』を入手しているので困ったときには孤児院より、領主館を訪れた方がいい。


「次は『識別の虫眼鏡』の説明文を読んでみよう」


悠里は『識別の虫眼鏡』をタップした。





識別の虫眼鏡【所持数制限無し/譲渡・売買可】


アイテム/Bランク。


虫眼鏡でかざした物の名称がわかる錬金魔道具。



入手条件



ワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』のクエスト期間中に孤児たちの行方を調査し、孤児たちが誰に攫われ、どこに連れていかれたのか特定する



交換する【要WP100】/交換しない





「すごい!! 私、これ欲しい……!!」


悠里はわくわくしながら『交換する』をタップした。

画面が切り替わる。





『識別の虫眼鏡』をプレイヤーNO178549。高橋悠里様のアイテムボックスに送付しました。ステータス画面のアイテムボックスにてご確認ください。





アイテムボックスを確認しよう。

悠里はステータス画面を呼び出して『アイテムボックス』をタップした。新たな画面が表示される。

『識別の虫眼鏡』はきちんとアイテムボックスに送付されているようだ。よかった。


「残りのWPは111だね。『ボトルシップ』はもう交換できないけど、一応説明文を見てみよう」


悠里は『ボトルシップ』をタップした。





ボトルシップ【所持数制限無し/譲渡・売買可】



アイテム/Bランク。



瓶の中に帆船が入っている。お部屋のインテリアにどうぞ。


『ボトルシップ』制作職人として有名なアデン・マイネルの作品で、『ボトルシップ』マニアの間では高値で取引される。


『ボトルシップ』が好きなNPCにプレゼントしたら、友好度が爆上がりするかも……?



入手条件


ワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』のクエスト期間中に帆船に乗る


交換する【要WP200】/交換しない




『ボトルシップ』の説明文を読み終えた悠里は口を開く。


「『ボトルシップ』には何かがありそうな感じがするけど、私の残りWPでは交換できないんだよね。今、仲良くなりたいNPCもいないし『識別の虫眼鏡』を選んでよかった」


悠里は自分にそう言い聞かせた後、残りのWP111をすべてSPに変換してWP交換を終了した。



***


マリー・エドワーズの現在のスキルポイント 95P → 206P



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