第三百八十七話 マリー・エドワーズは情報屋と孤児院の院長から聞いた話を精査する
「情報屋さんっ。私、情報屋さんに売りたい情報がありますっ」
マリーが情報屋を見つめて切り出すと、情報屋はマリーから受け取った『ラブリーチェリー』の鑑定情報が書かれた紙を凝視して固まっているマギーに視線を向け、口を開く。
「マギーさんが同席していても構いませんか?」
「はいっ。大丈夫ですっ」
「わんっ」
マリーと真珠は肯くと情報屋は口を開いた。
「では、マリーさんが売りたい情報についてお伺いします。価値があると判断した場合は対価をお支払いしますね」
「よろしくお願いしますっ。私が売りたい情報はワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』のクエスト内容等についてですっ」
「わかりました。ではまず、マリーさんとユリエルさん、ロアーノさんがワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』を強制受注をした経緯についてお聞かせいただけますか?」
「はいっ」
マリーは情報屋の『ルーム』を出て孤児院に行き、孤児院の院長にロアーノが『オレと助手たちに任せてくれ。必ず子どもたちを助け出す』と言った直後にワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』が発生したと話した。
情報屋はマリーの話を肯きながら聞き、口を開く。
「興味深い情報ですね。対価として銀貨1枚お支払いします」
「ありがとうございますっ」
マリーは銀貨1枚を受け取り、アイテムボックスに収納した。
真珠はマリーが嬉しそうに銀貨を受け取るのを見守る。
マギーはまだ鑑定情報が書かれた紙を凝視して固まっている。
「ロアーノさんが孤児院の院長に『オレと助手たちに任せてくれ』と言ったワードがマリーさんとユリエルさんがクエストを強制受注をするトリガーになったのかもしれないですね」
「私とユリエル様がロアーノさんの助手。嫌だ……」
「くぅん……」
情報屋の言葉に落ち込むマリーを真珠は心配そうに見つめる。
マギーはまだ鑑定情報が書かれた紙を凝視している。
情報屋はマリーを見つめて口を開いた。
「マリーさん。孤児院の院長と話した内容を教えて頂けますか?」
「はいっ」
マリーは孤児院の院長が話した内容を情報屋に伝える。
すると情報屋は考え込み、やがて口を開いた。
「……妙な話ですね」
「どこか変ですか?」
「きゅうん?」
考え込み、呟く情報屋にマリーと真珠は首を傾げた。
「院長の話では、怪しい少年が孤児院に入ってきた時、猿の襲来を告げる鐘の音が鳴っていたということですよね?」
「たぶん、そうだと思います」
「わんっ」
情報屋の言葉にマリーと真珠は肯く。
「マリーさんのフレンドから、マリーさんに一斉送信でメッセージが届いたのはいつですか?」
「確認しますっ。ステータス」
マリーはステータス画面を出現させてイヴからのメッセージを確認した。
「紫月21日 夕方(4時48分)受信になってますっ」
「ワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』が終了したのは紫月20日 早朝(1時20分)頃だと思います」
マリーの言葉を聞いて情報屋が言う。
「えっ? じゃあイヴさんのメッセージってすごくズレて届いたっていうこと?」
「くぅん?」
「院長たちが状態異常『眠り』から覚めた時間がわからないので推測の域を出ない話になりますが、マリーさんのフレンドは犯人たちが去った後にメッセージを送信した可能性があります」
「でも目覚めた院長は子どもたちもイヴさんもいなくなったって言っていました」
「食堂に、イヴさんが隠れられそうな場所はありましたか?」
「私は孤児院の食堂は見てないです。ユリエル様と真珠と一緒に院長様に院長室に通されて話を聞いて、話を聞いた後に情報屋さんの『ルーム』に来たので……」
「そうですか。では一度、孤児院の食堂を見に行きましょうか」
「えっ? 今度は情報屋さんも私と真珠と一緒に行ってくれるの?」
「くぅん?」
「ええ。ご一緒させてください」
微笑んで言う情報屋の言葉を警戒しながら、マリーは口を開く。
「一緒に来てくれても情報屋さんにお金は払わないですけど、大丈夫ですかっ!?」
「ええ。無料でお手伝いします」
情報屋はマリーにそう言った後、マギーに視線を向けて口を開いた。
「マギーさん。私たちは『ルーム』を出るので、申し訳ないのですが」
「マリーちゃん!!」
マギーは情報屋の言葉をぶったぎって叫んだ。
マリーと真珠はマギーの叫び声に驚いて身体を震わせる。
マリーを見つめるマギーの目はぎらついていて、マリーは恐怖した。
真珠は優しいマギーの豹変ぶりに戸惑い、マリーを守るためにどうしたらいいのかわからず途方に暮れた。
***
マリー・エドワーズが情報を売って受け取った対価 銀貨1枚
紫月22日 早朝(1時31分)=5月16日 11:31
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