第三百六十三話 高橋悠里はアラームをセットせずに眠り、朝、お腹が痛くて目覚め、二度寝のためにアラームをセットしようとして大好きな先輩からのメッセージに気づく



悠里が目を開けると、視界には見慣れた天井が映る。

無事にログアウトできたようだ。

悠里は横たわっていたベッドから起き上がり、ヘッドギアを外した。

それからヘッドギアの電源とゲーム機の電源を切る。

もう寝るので、ヘッドギアとゲーム機を充電した。

ヘッドギアとゲーム機を繋いでいたコードは机の上に置く。


「うう。お腹痛い。『アルカディアオンライン』をプレイしていた時は全然お腹痛くなかったのになあ……」


悠里は愚痴をこぼしながら一階のトイレに向かった。


トイレで新しい夜用ナプキンをつけた悠里は自室に戻り、部屋の電気を消してベッドに潜り込む。

眠い。でもお腹が痛い。


「あっ。アラームをセットするの忘れた。……いいや。もう寝よう。寝坊したら生理がつらくて起きられなかったって言おう」


悠里はそう言いながら目を閉じた。


……お腹が痛い。

腰が重く、下腹が痛い。

もう、朝だろうか。今何時……?


「とりあえずトイレ……」


悠里はのろのろと起き上がり、よろよろと部屋を出てトイレに向かった。


悠里がトイレから出ると、洗面所で祖父が顔を洗っていた。


「おはよう。お祖父ちゃん」


顔を洗い終えた祖父は自分用のタオルで顔を拭き終え、悠里に視線を向けた。


「おはよう。悠里。今日は早起きだな」


「今何時? 時間とか全然わかんない」


「なんだ。時計も見ずに起きたのか。今は5時だぞ」


「5時。早っ。……また寝るね」


「朝ご飯の時間には起きるんだぞ」


「はあい」


悠里は祖父に間延びした返事をして自室へと向かった。


自室に戻った悠里は朝ご飯の時間に寝坊しないために、スマホのアラームをセットすることにした。

スマホを手に取りぼーっとしながら画面を見ると、要からのメッセージが来ている……!!


「えっ!? 嘘!! 要先輩からメッセージが来てる……っ!?」


眠気が一気に吹き飛んだ。

要からのメッセージは昨夜の23:45に来ていたようだ。


「私、要先輩からのメッセージめちゃくちゃスルーしちゃってた……っ。ごめんなさい要先輩……っ」


悠里はスマホに頭を下げ、そして要からのメッセージを確認する。





悠里ちゃん。女子会は楽しかった?

俺はワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』を受けてWPと交換したよ。

初ワールドクエスト参加、すごく面白かった。

『アルカディアオンライン』って自由度が高くてすごいね。

悠里ちゃんにゲームに誘ってもらえてよかったと思ってる。


明日、もし予定が合えば一緒に遊ぼうね。

俺は明日の9:00頃にログインしようと思ってます。

もし遊べるようならゲーム内でメッセージをください。

予定があったり、中間テストの勉強をする場合はスルーしてね。





「中間テストの勉強……は、しないっ。ゲームで遊べなくなったらするかもだけど……」


要からのメッセージを二度読んだ後、悠里は8:45頃にゲームにログインして真っ先に要にメッセージを送ろうと思いながらアラームを7:00にセットして、スマホを枕元に置いた。

一度は吹き飛んだ眠気が戻ってくる。

悠里は布団に潜り込み、目を閉じた……。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る