第百五十六話 高橋悠里はプレイヤーレベルが10になり、ゲームのアップデート情報等を知る



気がつくと、悠里は転送の間にいた。

お風呂上がりに着たパジャマ姿だ。


「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様。高橋悠里様のプレイヤーレベルが10になりましたのでお知らせ致します。これに伴い、高橋悠里様は一日あたりゲーム内通貨1000リズをリアルマネーの1000円に変換することが可能になりました」


「すごいっ。それって私がワールドクエストの創造に成功したから……?」


「左様です」


「えっと、今日は700円しか換金してないから……あと300円換金できるっていうこと?」


「左様です。変換しますか?」


「しますっ」


「作業中……。作業終了。高橋悠里様の登録口座に300円を入金しました。後程、お確かめください。高橋悠里様の現在の所持金は4265201リズです」


「わあいっ。嬉しい……っ」


情報屋からの依頼も達成したことだし、現在の所持金は4265201リズは悠里のものになったと思っていいだろう。

借金返済額1000万リズまで、道筋が見えてきた……はず。


「高橋悠里様。『アルカディアオンライン』アップデート情報をお知らせします」


「お願いします」


「強制ログアウトをするプレイヤーが後を絶たないため、通常ログアウトをするプレイヤーのプレイヤー善行値が上昇するように変更しました。但し、プレイヤー善行値の上昇は一日に一度だけです。尚、規定された回数、連続して通常ログアウトした場合は大幅にプレイヤー善行値が上昇します」


「規定された回数って何回ですか?」


「お答えしかねます。仕事や家事等を済ませてゲームを短時間プレイする社会人プレイヤーへの優遇措置です。ご了承ください」


「そっか。ひとり暮らしの人は、普通にログアウトしやすいもんね」


ひとりで暮らして、ひとりでご飯を作って、ひとりで掃除をするなんてすごい。

しかもその上、学校に行ったり仕事をしているなんて本当に偉い。

悠里は食器を洗うことすら面倒くさく感じて、カレー以外のご飯を作ることが難しい自分を顧みて、すべてのひとり暮らしをしているプレイヤーを尊敬した。


「プレイヤーNO59721ウェイン、プレイヤーNO8029デヴィット・ミラー、プレイヤーNO198047クレム・クレムソン、プレイヤーNO62369バージル・トムソンからメッセージが届いています」


「フレンド全員からメッセージ? あっ。そういえばクレムからメッセージが来たってサポートAIさんに教えてもらったのにまだ確認してなかった……っ」


悠里は慌ててステータス画面を出現させて、フレンドからのメッセージを確認する。

メッセージはクレムから三通、他のフレンドからは一通ずつ届いていた。

悠里はまず、クレムからのメッセージを確認することにした。


***


高橋悠里のプレイヤーレベルは10


高橋悠里の5月7日の換金額 700円→1000円


高橋悠里の貯金額 2300円→2600円


マリー・エドワーズの現在の所持金 4265201リズ



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