第十話 高橋悠里はステータスの説明を受ける



「高橋悠里様とマリー・エドワーズの意識の組み付けを行っています。作業中……作業中……」


サポートAIの声を聞きながら、悠里は息を詰めてじっと待つ。


「作業完了。高橋悠里様とマリー・エドワーズの意識の組み付けが正常に終了しました」


「ありがとうございます。お疲れさまです」


悠里は作業を終えたサポートAIにお礼を言って、頭を下げた。


「ねぎらいの言葉を頂き、恐縮です。それでは最後にステータス画面の説明をさせて頂きます。まずは『ステータス』と言ってください」


「わかりました。ステータス」


悠里は素直にサポートAIが言う通りにした。

悠里の目の前に、人物名が掲載されていた透明なボードと似たようなボードが現れた。


「わあ……。これが、私のステータスなんですね」


「正確に言えば、高橋悠里様とマリー・エドワーズのステータスになります」


悠里はわくわくしながら、これからプレイする『主人公』のステータス画面を見つめる。





マリー・エドワーズ


女性/5歳


高橋悠里の依代


状態:衰弱/睡眠


種族:ヒューマン/レベル1(567/1000)


能力値


HP 2/10


MP 0/0


STR 3


DEF 1


INT 5


DEX 4


AGI 2


CHA 8


LUC 20


ユニークスキル


ステータス閲覧 スキル習得 不滅の恩寵 ■■■■■■■■


レアスキル


リープ ログアウト クローズ


コモンスキル


掃除 レベル0(82/100) 接客 レベル1(15/100)


所持金 0リズ 


スキルポイント 5p


行動履歴確認  転送の間  スキル習得  ■■■■■■■■  各種図鑑  プレイヤーレベル/善行値確認  フレンド機能  クエスト確認  ゆるふわ機能





「ステータス画面で、ご不明な点はありますか?」


サポートAIに問い掛けられた悠里は少し考えて、口を開く。


「LUCの数値だけすごく高いんだけど、どうして?」


「LUCは幸運の数値です。高橋悠里がプレイヤーキャラに選んだことで幸運の値が大幅に上昇したようです」


「そうなんだ。じゃあ、プレイヤーが選んだキャラはみんなLUCの数値がすごく上がるんだね」


「そうとは限りません。レアスキル『不運』等を所持しているキャラクターに憑依した場合、LUCの上昇が抑えられることがあります」


「レアスキルでも、全然嬉しくないね……」


「プレイヤーに不利益を与えるスキルを総称して『デメリットスキル』と呼びます」


「『デメリットスキル』は削除できないの? もっているしかないの?」


「『デメリットスキル』に対処する方法は複数あります。ぜひ、ゲーム内で探してみてください」


「うん……」


そもそも『デメリットスキル』を取得したくないと思いながら、悠里は肯く。


「ステータス画面にある各項目をタップして頂くと、説明が表示されます。ご活用ください」


「今、確認してもいい?」


「はい。どうぞ。ご不明な点がありましたら、補足して説明致します」


「ありがとう。最初はどの項目を見てみようかなあ」


悠里はステータス画面を見ながら、右手の人差し指を彷徨わせた。

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