第17話 ワタシ②

[1592年2月某日]

 一緒に働いている女性と結婚することになりました。

 とても可愛らしくて、とても働き者で、とても素敵な女性です。

 猛烈にアタックした甲斐がありました。

 ああ、ワタシは何と幸せ者なのでしょう。


[1592年4月某日]

 働き始めてから4年経ちました。

 今では接客や帳簿付けの他に商品の仕入れ、価格交渉も任されることが多くなりました。

 可愛いお嫁さんも来てくれましたし、そろそろ夢のために動き始めないといけませんね。


[1592年5月某日]

 アイゲントーマに独立して自分で店を構えてみたいと打ち明けたところ、とても喜んでくれた上に、自分が店を出した頃の苦労話を交えて助言して頂きました。

 ワタシはこのお店で働けて本当に良かった。

 来年の開店を目指して準備を進めましょう。


[1592年5月某日]

 大事なことを忘れていました。

 自分で店を構えたいと思ってはいたものの、そもそも何を売れば良いんでしょう?

 今のお店と同じ商品を扱って、同じところから仕入れても、恐らく成功しないでしょう。

 先日アイゲントーマは何か言っていたような気がするけれど……

 ひとまず売りたいものを決めてから相談してみます。

 何がいいでしょうかね。


[1592年6月某日]

 自分のお店で売るものを考えてみましたけど、やはり資金の都合で仕入れに限界がありますし、店舗もそんなに大きい物件は借りられないでしょうから、将来に亘って売れそうで、尚且つ競争相手が少ないものに絞った方が良いでしょうね。

 そうなると、うーん、やっぱり武器と防具ですかねぇ。

 問題は仕入れ先をどうするか、ですね。


[1592年6月某日]

 商う物を決めましたので早速アイゲントーマに相談してみましたが、大変ありがたいお話を聞くことが出来ました。

 やはり独立してお店を始めるときの難関の一つが、商品の仕入れ先の確保なんだそうです。

 武器と防具を商いたいと話したら、商人組合に行って職人さん達の組合を教えてもらい、今度はその組合に職人さんを紹介してもらうか、所属している職人さんの一覧を貰って自分の足で1軒1軒見て回る方法を教えてもらいました。

 武器と防具で鍛冶組合と、防具で皮革職人組合も見ておいた方が良いだろう、とも言ってました。

 先輩商人の知恵はとても参考になります。


[1592年7月某日]

 先日アイゲントーマに聞いた通りに、今日は商人組合に行って鍛冶組合と皮革職人組合の場所を教えてもらいました。

 鍛冶組合も皮革職人組合も、いずれお店を出す予定で仕入れ先を探していることを話すと、職人さんの一覧を快く渡してくれました。

 職人さん達も販売先を探すのに苦労しているんでしょうね。

 評判の良い職人さんと、独立して組合に加入したばかりの職人さんも、何名か教えて貰えましたので、時間を作って訪ねてみます。


[1592年8月某日]

 教えてもらった職人さんを全員、訪ね終わりました。ワタシ頑張りました。

 独立してお店を出したら仕入れたいと話したら、皆さん笑顔で承諾して下さいました。

 職人さんは気難しい人が多いと聞いていましたが、思い込みは良くないですね。


[1592年12月某日]

 愛しの我が妻が妊娠していることが分かりました。

 妻の子供ですから、とてもとても可愛いに違いありません。

 それにしても今年はとても良い1年でした。

 来年も何事もなく順調に過ごせたら良いですね。

 神様、ありがとうございます。

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