第045話 隠し部屋の扉を開けるたった一つの方法
―パァンッ!!パァンッ!!パァンッ!!パァンッ!!パァンッ!!
俺が拳を振えば、黒モン―黒いモンスター―がはじけ飛ぶ。
空中でドロップする魔石をキャッチして、ダンジョンに来る前にショッピングモールに寄ってキャンプ用のデカいバックパックを買ったので、その中にポイポイと放り込んでいく。
俺が隠形して接近すると、朱島ダンジョンのモンスターは俺に気付くことがないので、なんなく間合いに入りこんで殴るだけの簡単なお仕事。
頭の中でこの階層にいるモンスターの位置を描き出し、どのルートが最短で、かつ最大限にモンスターを狩ることが出来るかを考えて、その道に従って敵を殲滅していく。
俺とは別の方向に進んだラックも中々のスピードでモンスターを退治しているのを気配で察知できた。
「俺も負けてられないな!!」
俺もそのスピードに呼応するようにどんどん速度をあげて見つけたモンスターを殲滅しながら進んでいくと、次の階で突如半端じゃない量のモンスターが生み出された部屋があった。
「あそこは俺がもらう!!」
さらに加速してダンジョン内を駆け抜ける。次の階へ階段を見つけた俺は、すぐさまに階段を下りて二階層へと侵入を果たした。
「あっちか!!」
すぐさまに一階で探知した部屋の場所を把握して、ラックがこっちにやってくる前にその部屋へと疾駆する。
分岐路を右左右下と道を迷いなく進む。数分程進むと、行き止まりに行き当たった。
「あれ?おかしいな。確かにこの先のはずなんだけど……」
俺は確かにこの先に部屋があって沢山のモンスターが生まれた気配を察知した。
「もしかしたら隠し部屋かもしれないな。ボタンか何かがないか探してみよう」
俺は付近の天井、壁、床、ありとあらゆる部分を探したがそれらしきものがない。
「一体どうやってあければいいんだ……そうか!!」
俺は腕を組んで悩むこと数秒、この隠し部屋への道の開け方を思いついた。
隠し部屋の扉を開けるたった一つの方法、それは……物理だ!!
「ボタンがないってことはつまり、ここは破壊して進むのが正解だ!!」
俺は入り口を塞いでいる壁を殴った。
―ズドーンッ
壁だったレンガが粉々に粉砕され、奥への道が開く。
「やっぱりな!!」
あっけなく開いたところを見るとこれが正解らしい。
中には沢山の黒コボが溢れかえっていた。
「ここかぁ!!ボーナスタイムの部屋はぁ!!」
目の色を変えた俺は、中に突入して黒コボを殴り飛ばす。
「はははぁ!!いっただきぃ!!」
すぐにドロップした魔石をリュックに詰め込んで、また次のターゲットを殴り飛ばす。
「ハッハッ、見ろ!!黒コボがゴミのようだ!!ハッハッハッハッ!!」
どこかの大佐のようなセリフを吐きながら次々とはじけ飛ばして、数を減らしていく。最初は百匹はいた黒コボだったが、俺の攻撃に耐えることはできず、あっという間に数を減らし、数分後には全滅した。
これで大分リードしただろう。
俺は次の部屋に向かって走り出した。黒コボの中に知っている気配があったような気がするけど今は勝負の最中だ。構っている暇はない。ラックもバンバン黒モンを倒している。のんびりしていたら追いつかれてしまう。
それからも俺とラックは黒モンを狩り続け、制限時間になったので合流地点である四階への階段の前で落ち合った。お互いの魔石の数を数え合った結果、俺が三百六十七個、ラックが二百二十五個で圧倒的勝利を収めた。
「クゥン……」
負けたラックがしょんぼりしていたので、レアドロップとして手に入れたブラックオークの肉を上げると、「ウォオオオオオオオオオオオンッ!!」と思いきり遠吠えして喜んで元気になった。
ダンジョン内でテントを張り、バーベキューセットで焼いたブラックオークの肉のダンジョンキャンプ飯は、ほっぺが落ちるほど美味かった。
余りの美味しさに今度この肉を妹と母さんにも食べさせてやろうと思った。
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