超優良物件への転生
猫ってかわいいよね!
第1話 死神
小さい頃は友達と遊ぶことが多くて、毎日飽きなかった。けど、中学生になってからは勉強ばかりだった。あぁ、でもどうして——
「きらりくん、おきて」
聴き覚えのない声だ。起きてくれ、だって?しかし俺は眠い。その声に応えることすら辛い。だって昨夜は塾の宿題と学校の勉強の予習で潰れたんだ、眠らせてくれ!
「きらりくん!困るんだよ起きてくれなきゃ!」
「ああっ、もうなんだよ!」
イライラして仕方なく顔を上げると、そこには銀髪の小さな少年が居た。白い、死装束のような服を着ている。
____そして俺と少年の周りには、奇しく霧が立ち込めていた。
「…はっ?…ここ何処だ?てか、お前誰だよ?…迷子か?いや、夢?」
「夢じゃないとも。それに、迷子だって?きらりくんが迷子になりかけていたんだろう?」
くすくすと、その彼は笑う。
見た目に似合わず、随分と大人びた声だ。
「はぁ?迷子って...」
すると少年は顔を歪ませた。
「本当に覚えてないの?橋本きらりくん。」
俺の、名前だ。大嫌いな俺の名前。なんでこんな奴が知ってるんだ。
そういえばずっと。こいつは俺の名前を。
「おい、お前。なんで俺の名前知ってるんだよ⁈それに、ここどこだよ!」
俺の名前を知っているという事は、何かしら事情も分かっているはず。こいつがいうに夢じゃないらしい…まぁここも夢かもしれないが。
「何回もその名を口にしてたのに、気付いたのが今って...。まぁいいさ。君はね、きらりくん。」
少年がゆっくりと微笑む。
「死んだんだよ。交通事故にあってね」
そうだ、俺は。
勉強ばかりだったから。
勉強をするしか許されないから、それに無理やり誇りを持っていたんだ。
けど、でも。
——俺はどうして、もっとあの時を楽しまなかったんだろう。
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