ピエロとフォトブック 〜クラスNo. 1ヒロインと根暗ボッチの秘密裏生活〜

立花レイ

プロローグ1 失恋のクリスマス

 中学3年生の冬。雪が降り注ぐ聖夜だった。


 「……ごめんなさい」


 沢山の人が幸せそうにしている尊い時間。

 イルミネーションで照らされている街。

 そんな中一人立ち尽くすことしか出来なかった。

 

 遠ざかって行く彼女の姿を見守る。見えなくなるまでずっと。


 クリスマスにはぴったりな白のワンピースにロングコート。大好きな格好だ。


 雪ぼこりが舞い、視界が歪む。


 目を擦り、もう一度同じ方向を見やれば、もう彼女の姿はなかった。


 全身の力が抜け崩れ落ちる。


 君のために買ったプレゼントも今日のために予約しておいたお店も粉雪のように小さく散っていった。


 君と一緒に過ごせていたらどれだけ幸せだったのだろう。


 プレゼントを渡したら喜んでくれて、お洒落なお店に連れて行って美味しいご飯を食べて……帰りは手を繋いで歩いて……


 けどそんな未来はやってこない。


 何一つできない。


 だってフラれたんだから。








 刻々と時間が流れてゆく。


 悴んだ手、真っ赤な耳、感覚のない足先。


 凍った体は誰が溶かしてくれるのだろうか。


 冷えた心は誰が暖めてくれるのだろうか。


 風が吹き、雪ぼこりが再び舞う。


 

 





 今日ってこんなにも寒かったんだ。

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