月は静かに

東の空が

うっすらとオレンジ色に染まり始めて

太陽が昇り始める頃


西の空には

役目を終えたとばかりに

沈んでいこうとする月がいる


昨日満月を過ぎた月は

まだふくよかに丸く

朝を迎えた世界を静かに見つめている




月は知っている


 あふれるほどの愛に包まれて眠る幼子を


 破れた恋に泣き疲れて眠る彼女を


 未来の為にと、文字や数字を追い続ける君たちを


 自分が何者かも分からなくて眠れないあの人を


 感傷に浸る間もなく、働き続ける彼らを



月は知っている



月は時々雲に隠れながらも

この世界の夜を全て見ている

この世界の夜を全て照らしている


静かに

静かに


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