糸の欠片

断ち切られた糸を手に

あたしは一人、立ち尽くす


貴方から差しのべられた手は

もう

この扉の向こうに隠されていて


戸惑いで

何がなんだかわからなくて


もう、あたしの言葉は届かないのかと

扉に向かって呼びかけてみたけれども

返ってくるのは“沈黙”という拒絶で

「もう来ないで」という

お仕舞いの言葉すらかけてはもらえずに



貴方から投げ掛けられた糸は

貴方の手で断ち切られてしまった


あたしに手に

僅かな糸の欠片だけを残して





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