この春から高校に通う少年が、まさに「美少女」というべき容姿の幼なじみ(男)と再会し、ちょっとしたお泊まりデートに出かけるお話。
まさにタイトルそのままの現代ドラマです。
とにかく濃い……というかもう、全編を通じて滲む〝ヘキ〟の濃厚さがすごい。
美少女と形容されるほどの中性的な容貌と、なのに「この若さですでに妻を娶り子まで成している」という事実の、そのギャップだけでもうごはん何杯でもいけてしまう……。
実際に本文を読むとなお破壊力がすごいというか、単純に主人公(視点保持者の信康くん)が好きです。
この劣情の拗らせっぷり! いやこれを「拗〝らせる〟」と彼の責任のように言うのはさすがに不憫というか、どう考えても多感な時期をランリンくんと共に過ごしたせいだと思うのですけれど。とにかくその内心の葛藤の凄まじさたるや!
途轍もない迷走感。自分が何に対して欲情しているのかも理解できないまま、それでも抑えきれない情欲に振り回される、その苦痛と困惑が直接伝わってくるかのようでした。
なんというか、脳を壊されて悶える人を見ている感じ。
あともう単純にランリンくんが可愛いです。
そういう意味では、ほのぼの恋愛もの……というにはやっぱりいろいろ濃いんですけど、でもランリンくん目当てで読むだけでも十分に魅力のあるお話でした。
というか、彼目当てで読むことで主人公の葛藤をそのまま追体験できるのでおすすめです。あなたも一緒に脳を壊されてみませんか?