癒すのじゃロリちゃんには裏がある

御厨カイト

癒すのじゃロリちゃんには裏がある


「のう、お主よ、少し疲れておらんか?」


「えっ?いきなりどうしたの?」


「うん?いやなに、普段学校に行きながら、バイトをしておるから疲れておるのではないかと思っての。」


「まぁ、確かに疲れてはいるけど別に大丈夫だよ?」


「そうじゃとしても、わしが大丈夫じゃないのじゃ。お主が働いている間、わしは家でゴロゴロしておるわけじゃが、流石に胸が痛んでの。」


「そうなの?」


「うむ、じゃからお主を癒して差し上げようと思ってな。」


そう言って、神様は正座をして膝をポンポンと叩く。


「?」


「うふふ、ほれ、膝枕じゃ。ここでゆっくり休んでおくれ。」


「い、いいんですか?」


「あぁ。さぁ、遠慮なく。」


「・・・それじゃあ、お言葉に甘えて遠慮なく。」


そうして僕は少し戸惑いながらも神様の膝の上に頭をのせる。

神様の小さな肢体に頭をのせるのはなんだか背徳感が募る。

だけども、やはり人肌というのもあって安心する。


「どうじゃ、わしの膝枕は?」


神様はこちらを覗き込むように見てくるから、顔が近くて少し恥ずかしい。


「・・・もちもち、すべすべしていて気持ちがいいです。それに安心する。」


「うふふ、そう言ってもらえて少し恥ずかしいが嬉しいの。」


そう言って、神様は僕の頭をゆっくりと撫でてくる。


「か、神様?」


「・・・お主にはホントに感謝しておるのじゃぞ。全く人が来んくなってしもうた、わしの社を綺麗にしてくれたり、そこが台風で壊れてもうた時にも『僕の家に来てください』と言ってくれたり。」


神様はまるで噛みしめるようにゆっくりと呟いていく。

その間もゆっくりと僕の頭を撫で続けながら。


「それからというものわしはお主に甘えてばかりじゃ。お主が外で頑張っている時もわしはこの家でゴロゴロ。全く神の名が廃るわい。」


「・・・それでも神様は僕のためにご飯を作ってくれたりするじゃないですか。家事もしてくれたり、今だって普段はしないけど膝枕をしてくれたり。僕も神様がいることで助かっているんですよ?」


僕がそう言うと神様は嬉しそうに微笑む。


「そう言ってもらえて嬉しいの。わしは誠に良い主を見つけたものじゃ。」


神様はそう嬉しそうに立派な尻尾をぶんぶんと振る。

その尻尾が僕の顔にバフッと当たってこそばゆい。


「・・・本当にお主には感謝しかない。わしが生きるところを与えてくれたのじゃからの。まったくこの世は時の進みが速い。色々新しい物も出来ておる。お主はそんな景色をわしに見せてくれたのじゃぞ?これに感謝せずして何をする。」


「神様・・・」


「それにお主はわしのためにも働いてくれておる。まったくお主は偉いの、偉い子じゃ。大好きじゃぞ。」


「・・・」


ゆっくり、ゆっくりと神様は僕の頭を撫でる。



まさか普段ぐうたらしている神様がこんなことを考えていたとは・・・

嬉しいな。

この雰囲気も相まって若干涙が出そうだ。



そう思っていたら神様はゴソゴソとスマホを取り出して、神妙そうな顔をする。


「・・・それでのお主よ。お願いがあるのじゃが。ソシャゲのイベントを回りたいからもう少しお小遣いをくれんかの?」


ガバッ!

俺は勢いよく頭を上げる


「あ、危ないの!わしの美しい顔に当たるところじゃったじゃないか!」


前言撤回。

ダメだ、この神様。


「はぁー、今月のお小遣いはもうあげたでしょ。」


「それはもう使い切ってしまったのじゃ。今回のイベントはランキング上位に入ったら限定キャラが手に入るんじゃ。わしはそれが欲しくての。お小遣いはそれに使ってしもうた!」


いや、そんな誇らしく言うことじゃないです。


「だからの、お主よ。お小遣いをもう少しおくれ?」


「ダメです、来月まで待ってください。」


「な、なぜじゃ!なぜダメなんじゃ!」


「理由が理由だからですよ!ソシャゲの課金に使うからという理由で、お小遣いをもっとあげるわけないでしょ!それにあなたは神様なんですよ、ソシャゲになんかハマって神様の名が泣きますよ。」


「そんなこと言っても面白いものは面白いんじゃもん!」


なんか見た目も相まって、駄々をこねてる子供みたい。

神様なのに・・・


「はぁー、ダメなものはダメです!ちゃんと来月まで待ってください。」


「むぅ、ケチじゃの。せっかく膝枕もしてやったというのに。」


なるほどそういうことか。

道理で普段しないことをすると思った。

俺の感動を返して欲しい。


「そんなことしても無駄です。それ以上言うようなら来月のお小遣いも無しにしますよ。」


「なぬっ、それは流石に堪忍じゃ。うむむ、仕方がない、今回は引き下がるかの。」


「そうしてください。それにお小遣いは計画的に使ってくださいね。」


「はい、なのじゃ。」


まったく、僕は神様相手に何を言ってるんだか・・・



何故だか不意に虚しくなった今日の僕であった。





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癒すのじゃロリちゃんには裏がある 御厨カイト @mikuriya777

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