3、秋

 かさかさかさと。

 黄色とオレンジとバーガンディの小道を往く。

 君と僕の足音。

 空は高く、袖はひらひらと長い。

 がさがさがさがさ。

 立て看板と暗幕を持った学生たち。

 今からで、間に合うかな。

 大丈夫、今日は泊まり込みができる。

 男子たち、頼むわよ。

 がさがさがさがさ。

 かさ。

 君は立ち止まって学生たちを振り返る。

 そうだね。

 あれからもう何年もたつというのに。

 思い出すんだろ。

 金木犀の香りと。

 みんなの声と。

 君は再び歩き出す。

 かさかさかさ。

 見上げると飛行機雲。

 どこへ向かっているんだろう。

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