『シトロン坂を登ったら』『月蝕の夜の子守歌』 白鷺あおい
『シトロン坂を登ったら』『月蝕の夜の子守歌』
白鷺あおい
大正時代の横浜、箒を使った飛行術や薬草の知識などを教える魔女学校に籍をおく少女たちが怪事件に遭遇するというシリーズ。三部作なのに三巻だけを購入し忘れていた。二巻まで読んだ感想を書くことにする(ちなみに『大正浪漫 横濱魔女学校』というシリーズ名があるらしい)。
人間だけでなく妖怪の子女も通える魔女学校が舞台ということで、海老茶袴の女学生が箒に乗って空を飛んだりする氏、妖怪も出てくるし、横浜だから異国情緒も漂うし、女子が通う寄宿舎付きの学校ということでちょっとした日常描写もあるし、南米の黄金都市というシリーズを通した大きな謎もあるしで、楽しいものをギュッと込めた感があるシリーズだった。創元推理文庫のシリーズだけど、どちらかというと大昔のコバルト文庫やポプラ社から出ていた少女小説っぽいようなノリを感じる。
少女小説が読みたいんだけど、少女小説レーベル読者を受け入れている現代の女性向けキャラクター文芸文庫に見られがちなファンタジーロマンみたいなのとはちょっと違うんだよなぁ。寄宿舎付きの女学校で生徒たちがわちゃわちゃするようなのが読みたいんだけど……という悩みを抱えていた身にはちょうどよかった。長らく求めていたのはこういう世界だったのだろう。
特に二巻にあたる『月食の夜の子守歌』では、孤児の少女がなんやかんやなひと騒動のあとに資産家の祖父(息子の結婚に反対したことがきっかけで絶縁状態)に引き取られるというド定番なアレがプロットに含まれていて堪らなかった。やっぱ少女小説といえば孤児と資産家のおじいさまなりおばあさまですね。
ところで二巻の作者あとがきで書かれていた、香山滋が少年少女向けにリライトした『緑の館』が大変面白そうで読んでみたいんですが……。復刊なんて無理でしょうねぇ、いくら香山滋でも。はぁ。
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