生きて往く

@wcnqw280

第1話

私は36歳を迎えた男性である。生まれてこの方、何不自由無く生きてきたが、ここに来てその順風満帆な人生の皺寄せが一気に来たかのような不安に苛まれる日々を送っている。私は一人っ子として生まれ両親の愛を一心に受けて育ち祖父母にも恵まれ今思えばとても幸せな幼少期を生きたんだと思う。おかしくなったのは私が大学に入ってからだろうか、受験勉強はほどほどにやったがそこまで頑張ったとは言えなかったし高校でも部活を辞めてこれと言って何かに精を出した訳でも無かった。それでも第二志望の大学に合格出来たのは幸運だったのか、その後を考えると不運だったのかも知れない。入学した大学は名の知れた大学ではあれど、手放しで自慢できるような大学では無く、何か目標があって入学した訳でも無いので入ってからはその何とも言えない虚栄心をもって生活した。とにかく自分自身が何者なのか分かりたくて入学してからすぐにアルバイトを始めた。しかしどのアルバイトも長続きせず円満に辞めた出先は無かった。ますます自分に自信を無くし虚栄心は大きくなって行ったように思う。大学でも思うように友達が出来ず、1人出来た友達は仮面浪人と呼ばれる形で東大を目指したから、もう彼と会う事はもう無いだろうと思ったが結局落ちて一緒に6年間過ごした。ただ彼と口を聞く事はそこから二度と無かった。

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