04 雪代ほのか



 私の名前は雪代ほのか。


 勉強はある程度できて、運動もまあまあ。


 普通を普通に生きていた、そんな普通な少女だ。


 そんな私は平凡な家庭で育った。


 劇的な人生を歩んできた覚えはなくて、日常はいつだって穏やかだった。


 だから私は、平凡な少女。


 ……だったら、良かったんだけどね。


 おかしくなった家の中に、平凡なんてものはどこにもなかった。


 小さい頃は割と普通だった。


 さっき、言った通りだった。


 母も父も、普通の人だった。


 けれど、正確にはわからないけれど。


 いつのまにか、いつのまにやら、いつしかおかしくなっていった。


 それは神様だとか、あの世だとかそういう言葉が飛び交う様になってから。


 かな?


 彼等は、普通である事にコンプレックスを抱いていた。


 だから、特別であるためには、強い感情が必要だと思ったようだ。


 そのため、正しくあろうとして、何かを一心に大切にしだして、それを過剰に私に強要してきた。


 楽しむ事を禁じて、自分達がそれで穢れる事を恐れていた。


 それは愛情だったのかもしれない。


 親切心と思いやりだったのかもしれない。


 けれど、私には要らないものだった。


 だから、もしかしたら、それが原因だったのかな。


 気が付いたら、私は殺戮病にかかっていた。


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