第7話 主人公に助けられるキャラはヒロイン!! 整備のイケ爺?
待ってましたの出撃当日。毎週の夜には憂鬱だった底辺の日々と違って待遇が違うからか? まぁ手に入る額からして違うからな。
《うーん、申請は一番早かったはずなのに後ろだねぇ》
(出撃は2段目か。まあ寝起きがお初よりかはいいさ)
Sワールドに繋がる空間回廊、捻りなく『ゲート』と呼ばれる転移口には基地ごとに一回の突入限界数がある。これは厳密にはサイズ制限と言うべきものでロボットが大きいとゴリッと減る。
50メートル級ともなれば一機で20から30体分の枠をゴッソリ持っていっちまう。
そこで物を言うのが合体機ってわけだ。完成体だと30枠取られるところを分離してりゃあ5機合体ならそのまま5枠、多くても10未満だけで済む。ルールの抜け道ってヤツだ。
まあそう発想するように調整してるんだろうけどよ。でなきゃ行った途端に派手にドンパチする可能性のある
合体機の連中、ホントは最初から最強状態で出撃してえんだろうなぁ。
出撃枠は3時間おきに更新される。1段目は朝の6時だから2段目は朝の9時、オレはその日の午前中の出撃組だな。
夜間はステルスが得意なヤツとか昼より面倒なタイプが出てくることがあるから、スーツちゃんに頼んで
(初日で待機部屋に丸一日缶詰なんてたまんねえしな。睡眠薬でも飲んで寝てるしかねぇ)
《睡眠薬はバイタル乱れるからオススメしないゾ。夜更かしする気分で普通に過ごした方がラクやけん、そういう日は積みゲー消費しようぜぃ》
(積んだことも無けりゃゲーム筐体も無いよな?)
積みゲーとかいつの時代の話だ。今で言うところのデータストレージに権利買って忘れてる忘れゲーみたいなモンか? 昔は物理媒体でデータを売り買いするのが当たり前だったらしいもんな。
《暇だしシミュレーターでも弄り回そっか? 今なら騒いでも誰も来やしねえぜ、ひっひっひっ》
(今日はいったい何目線なんだ)
《あ、ちょっとタンマ。スーパーなチームが出撃するみたい。これだけ見学しよう!》
(早朝アニメみてえに6時の出撃とは粋だねえ。五機合体の……労働過剰戦機ザンギョウダー)
なんだろう、名前見ただけで涙が出そうだ。
《うーわ……、後番組はキュウシュツジャーかなぁ》
ヤメロォ!! なんつー名前つけてやがるッ!?
《で、でもシートに座ってるだけで仕事現場に送られていくとか便利だねっ》
無理に良かった探しをするな。あと仕事現場って言うな。戦いに行くのに別の意味で戦いに行く感じになっちまうだろーが。一気にイメージが労働者の送迎バスみたいになっちまったろ。
(途中で謎のアスレチックが入ることもあるから、あれで大変みたいだぞ)
滑り台系の専用ルートを結構な速度で滑走して、さらにジップラインみたいな物に掴まって、最後はキャノピーの開いた操縦席に飛び込んだりするんだよな。あれ絶対に事故るだろ。
うっかり滑車を掴まえ損ねたら高所から転落だ。なまじロボットがデカイいだけに操縦席も高いところにあるからシャレにならん。合体前のパーツ単位でも床から7、8メートルは平気であるからな。ジップラインの勢いもプラスで死なないにしても大怪我するぞ。
うまいこと操縦席に収まってもちょっとズレたらケツが大ダメージだ。操縦棹とかスイッチとか、固くてデコボコしてるトコが突き刺さるわ。
《なんかスゴいねー……、ねえ低ちゃん。低ちゃんもそうだったけど、戦う職業だからわりと怪我とかするじゃない? 操縦席に座って戦うのはできるけど、アスレチックできない程度に怪我してるときはどうやって乗るんだろうね?》
(アスレチック出来ないくらいの怪我なら出撃しないんじゃねーの? アトラクションの入場審査みたいなもんだ)
《なるほど……なるほど?》
まーなんのかんの言ってもロボット物にとって搭乗から出撃までのシーンは、ある意味で戦闘や合体シーンと同じくらい大事な尺か、見応えのあるシーンだよな。ちょーっと操縦席に収まったパイロットたちの目が死んでる気がするけど。
生きて帰ってこいよーっ、つーかイキロ。仕事に殺されるくらい馬鹿らしいことはないぞ。この世界でも労災なんてまず下りねえんだからな!
《低ちゃんからかつてない負のオーラを感じる……》
思わず敬礼して見送っちまったぜ。ホントに残業で戦ってるわけじゃないんだろうがよ。無いよな? たまに珍妙なエネルギー使って動くスーパーロボットとかいるからなぁ……。
残業
(なんか見てるだけで疲れたからシミュレーターはいいや、BULLDOGの様子を見たいんだけど)
《おっけぃ、
どこのキャッチだおまえは。あと絶対ボッタクリだろそのキャラ。
<放送中>
「さっさと上げろーっ!! 次がつかえとるわぁー!!」
ガンガンと近くの手すりを叩く厳つい男。後姿からは連想できないほど筋骨たくましいが、御年80を越える老人である。
頑固な性格に反して柔軟な頭でS関連の技術を解釈し、他のどんな分野の専門家さえ及ばないほどの知識と技術力を持って基地の整備長の座を預かる稀代の整備士。
名は獅堂フロスト。元軍属であり、戦車の整備兵の経歴を持つ人物である。
ただ属していた軍は『Fever!!』によって国家ごと消滅してしまったため、整備の腕だけを売り物にこの基地に飛び込んだ。
とかく頑固で気に入らない相手は殴りつけるなど融通は利かないが、一本筋の通った行動を示す彼は今や基地内で親方と呼ばれ、多くの者から恐れられつつも頼られている。
そんな彼が発進をもたつく新米のパイロットや、ひよっこ整備士の段取りに声を荒げるのは古株たちにとって日常の事。だが、彼をより深く知るものは違和感を覚えていた。
いつもよりひどく機嫌が悪いと。
事実、彼は憤怒していた。ここまで怒ったのは影で新米を虐めていた古参パイロット共を殴りつけて以来だ。あの時は長年の力仕事で培った腕力で存分にタコ殴りにして溜飲は下がったが、今回は殴る相手がSPにガッチリと守られていて手が出せなかった。それでも持っていたスパナを投げつけてやったが。
生憎と獅堂は生粋のノーコンだったため傍目には床に叩きつけただけである。新兵時代に『おまえは絶対に手榴弾を持つな』と他の兵の前で教官に諦められたことを思い出し、羞恥で余計に腹が立っただけだった。
獅堂の腸が煮えくり返っている理由はふたつある。ひとつは出撃で忙しい早朝から、部下の整備士のひとりの怠慢が発覚したからだ。
パイロットの乗る機体にはそれぞれ専任の整備士が付く。日頃から同じ機体に携わることで微細な違和感に気が付く切っ掛けになるし、パイロットごとに付いてしまう機体のクセに合わせることもできるようになるからだ。助っ人として他を手伝う事はあるが、基本は専任のチームで完結する。
整備に携わる者としてそれは当たり前であり、むしろ他の整備士に余計な手をかけさせるのを獅堂は恥だとさえ考えている。
だというのにその部下は自分が怠けるため、経験を積ませるという名目で新米の整備士たちに己が担当していた機体を見させていた。だというのに当の本人は新米の指導などせずに現場から抜けて、昼間から酒盛りに行っていたというのだから獅堂でなくともまともな社会人なら怒髪天の大問題だ。
部下は途中こそ
本当に足腰立たなくなるまで殴られた中年の不良整備士は、今も潰れた鼻を床にへばり付けて彼の足元で伸びている。それでも誰も救護することはない。血まみれの拳を拭うこともなく怒鳴る親方が怖いということもあるが、態度だけで先輩風を吹かせ碌に仕事をしなかった中年整備士がそれだけ仲間内で嫌われていたのである。
「ちょっと失礼、通ります」
興奮して周りが見えていなかった獅堂は、のん気に声をかけてきた相手をつい苛立ちに任せて睨んでしまった。すぐに自分が狭い整備用の通路に陣取っていることを思い出して、明らかにこちらが悪いと思ったが、燻っていた怒りが
だが、その苛立ちに空白が差し込まれる。目の前に真っ白のジャージを着た、尋常でないほど美しい少女が立っていたのだ。
拳を血で濡らした自分にも、血達磨で倒れた男にも怯えることもなく、年齢差で言えば彼のひ孫ほどの子供がそこにいた。
「お、おお、悪い」
手すりに上半身を預けて仰け反るようにして、狭い作業用の通路に十分すぎるほどに空間を作る。
ナメられていると感じなくもないが、今悪いのは自分。それに美しささえ感じる少女の白いジャージに、足元に転がっている汚い男の血をつけるのは憚られた。
限界まで走らせた換気扇でも流しきれない油と火薬、金属臭と有機溶剤の刺激臭がする格納庫に花の香りが漂ってきたようで年甲斐もなく戸惑う。
(見た目もスゲエが、こりゃ中身もとんでもねえな)
怖いもの知らずは自分も大概だが、この少女はどこか浮世離れしていて、まるで『上位の存在』としてあらゆる事柄から余裕を持っているようにも思えた。
その態度は獅堂が足元でピクリともしない不良中年とやりあっても怖くもなんともないように、少女もまた獅堂を怖がる理由がないといわんばかり。
基地始まって以来の、試験最優秀得点を叩き出した新人パイロット。玉鍵たま。
そして獅堂の怒りが再燃する。もちろんこの少女に怒ったわけではない、彼女に関係する大人たちのソロバン弾きに協力させられる立場に立たされた苛立ちからだ。
基地の最高責任者、火山長官の鶴の一声で目の前の少女は勝手に乗機を変更させられる。そうなるようにアクシデントを装い、搭乗する機体を変えるように仕向ける工作を獅堂は命令されたのだ。
他のすべての機体を差し置いて急ピッチで用意された極秘の新型スーパーロボット『不死鳥王ファイヤーアーク』。それぞれ特性の違う五機で構成される合体ロボのパイロット、そのひとりに仕向けるために。
(馬鹿馬鹿しい、本当に馬鹿馬鹿しいわ!!)
国防軍ならば否応はない。用意された機体がどれだけ旧式だろうと低性能だろうと欠陥機だろうと、兵ならば黙って戦場に赴くしかない。たとえ乗らされたのが潰れかけのスクラップでもだ。それが国防を担う兵士の役目なのだから。
そんな前線の兵士たちに整備兵はせめて、せめてまともに戦えるよう懸命に整備して車両を渡してやるしかできない。
だがここは軍ではない。Sワールドで戦う者たちも兵士ではない。パイロットは自分で乗機を吟味し、装備を選び、生き残るために懸命に戦う。多くは獅堂の四分一も生きていないような少年少女たちがだ。
彼ら彼女らが命を賭けて戦ってくれるからこそ、資源を食い尽くしたどん詰まりの人類がなんとか生存していられるというのに。
だというのにこの基地の長官はパイロットへの敬意がまるで足りない。命がけの戦士たちにまるで礼儀がなっていない。己が手を振れば従って当たり前と思っている。子供を前線に送り出すことに罪悪感くらいないのかと老兵は奥歯が軋む思いだった。
(パイロットが真剣に選び取った
しかしどれだけ老人が憤怒しても整備長の権限で最高責任者である長官の決定には逆らえない。親方と呼ばれようが所詮は使われる側でしかない。
(クソッ)
寄りかかっていた手すりを無意識に叩く。
それは完全に偶然の事。たまたま陣取っていた通路の、たまたま見えない部分に破損を生じていた手すりの、たまたま最後の一撃を入れてしまっただけ。
パキッと、機能性だけで構成された無骨な手すりが見た目よりもずっと軽い音を立てて割れた。ちょうど獅堂の体がすり抜ける広さの何もない空間を作って。
死―――。ゆっくりとした世界で老兵は死を思った。直下は30メートルほど、運が悪ければ死にかけで数時間は生きているだろうか。運が良ければ出撃する機体に巻き込まれ即死できるかもしれないタイミング。
この一般層で死にかけほど惨めな世界が待っている存在はない。金が尽きた時点で生命維持に必要な機器を外され、底辺層に送られる。
そこは人の尊厳など無い世界。
宙を掻く。もはや掴まる場所がないと分かっているのに。家族もいない老人の、軍が国ごと消えた老兵の、いつ死んでもいいと思っていた獅堂の手が生を求めていた。
まだ、死にたくないと。
「おぉぉぉっっっ!?」
無様な声を上げて落ちる老人、その手を取った者がいた。
すらりと滑り落ちそうなほど細い手の持ち主が、石のように固い獅堂の手をしっかりと掴んでいる。片足を無事な手すりに引っかけ身を限界まで乗り出して、落ちかけている獅堂を玉鍵たまが必死に支えていた。
「~~~~っっっ!!」
老いたとはいえ若いころから軍で散々に鍛えられ、今も率先して重い砲弾やパーツを運ぶ獅堂の体は未だに分厚い筋肉に覆われている。その重量たるや身に着けている工具を除いても100キロ近い。
こんな細身の中坊程度の女子に支えられる重量ではない。
「いい、離せ!! おまえも落ちちまうぞッ!?」
咄嗟に出た生存本能を恥じ、男の矜持が勝った。こんなことでパイロットを、それも子供を道連れで殺してたまるかと咄嗟に掴んでいた手の握力を緩める。
事態に気が付いた何人かがこちらに向かってきている。それでもこの少女らしからぬ必死の形相を見ればとても間に合わないだろう。
獅堂は少女のために生還の道を放棄しようとした。
だが―――
「しん、なぁぁぁっ!」
火事場の馬鹿力。そんな言葉が浮かぶほどの馬力で救助が来るまで玉鍵は獅堂を支え続けた。死ぬな、そう叫んで。
(出撃もしないで死ぬかと思った……)
《もぉぉぉっ、なにしてんのさ! スーツちゃんが足を動かして引っかけなかったら落ちてたよ!?》
しょうがねえだろ、咄嗟の行動ってやつだ。あれだよ、ツルッと手が滑って落ちかけた物を取ろうと意識しないで取っちまった感じだったんだ。それにあのまま墜落死されたら突き飛ばした容疑者にされそうだったしよ。
底辺層ならともかく、一般層じゃ高層カプセルホテルから突き飛ばして死なせたら傷害致死だからな。めんどくせえことになる。まあオレまで死んだら何も心配しなくて済んじまうけどな。
(いやマジで助かったぜスーツちゃん)
《今の低ちゃんの体じゃなきゃ耐えられなかったゾ。このお爺ちゃん
あー確かに、前の体じゃ一発で足腰やっちまって真っ逆さまだろうな。しっかしそれにしたってパワーあるなこの体。鍛えなくても国内アスリート級ってのは本当だったな。
(訓練に基礎トレーニングも加えるか。楽に強くなれそうだ)
《のん気だなぁ。まー終わったらおもしろい場面ではあったぞよ? 道連れで死んだら祟るぞふざけんなぁって絶叫おつ。ちゃんと言えてなかったのが実に可愛いかっだぞなもし》
(おつ、じゃねーよ。馬鹿力のジジイめ、さすがに指痛えわ。出撃直前にツイてねえ)
《運動能力はあっても手にタコとか出来てないからね。うっかり物を殴ったら指が折れちゃうかもしれないから、拳は利かせるだけにしときたまえ》
演歌に用はねーよ。爺さんはもう平気みてえだしぼちぼち行くか。オレが壊したわけじゃねえし手すりはそっちで直してくれんだろ。
「待った、待っただ嬢ちゃん」
《上、打ち下ろしの拳骨》
「このガキ、避けんな!!」
(なんだよ、このクソジジイ助けられたのに不満なのか?)
《たぶん違うゾ。怪我しないくらいに加減してあったから、孫にお説教じゃね?》
「テメエまで死ぬところだったんだぞ! 離せっ
あーハイハイ、次はそうするよ。次回は床で赤い染みになっちまえ。騒動の元凶がグチャグチャ言いやがって。
「生きててよかった(じゃねーか)」
(……スーツちゃんや、なんで口に介入したのかね?)
《まーまー、人には抱かれるイメージってものがあるのだよ低ちゃん。イメージのためにならアイドルはウ〇コもしないのだっ》
それは生物として不可能だろっ。そんな滅茶苦茶誰が言い出したんだ。
「…………嬢ちゃんのおかげで助かった。ありがとうよ」
そーだよ、最初からそう言ってくれりゃ話がサクサク進むんだ。めんどくせえ爺さんだな。
(もういいよな? 行くかスーツちゃん)
《いいけどルートは変えよう。思ったよりこの作業通路ガタが来てるみたい》
近道だからって選んだのになぁ、結局余計に時間食っちまったわ。急がば回れってのはこういう事なんだろうな。メンドクセ。
「そういやなんでこんな所通っとる? 整備の使う通路だぞここは」
うわぁ、いらんとこ気付かれた。
「BULLDOGのところに行きたい(んだけど、正規通路は遠回りなんだよジジイ)」
(スーツちゃぁぁぁん? 言論統制とか圧政なんですがぁ?)
《スーツちゃんの、目が、モノアイのうちは! 汚い言葉なんて使わせない!!》
(モノアイなのかよ……。デュアルカメラにしようぜ)
《ぐもーん》
SEを入れるな。
《こんなスーツちゃんに一言だけ言わせてほしい》
(どうぞ)
《モノアイ一択! さっきのぐもーんは愚問とかけていたのダッ》
(やかましいわ!!)
「……どうして嬢ちゃんは逃げ回ってまでBULLDOGに乗りたがる? 言われて乗るのは腹が立つかもしんねえが、あの新型はスゲエぞ」
《このお爺さん、低ちゃんの事情知ってるみたいだね?》
(そりゃー……、あれだけ騒ぎゃ知ってるヤツもいるだろうなぁ)
何度も何度もクソうるせえから根負けして行った長官とやらからの呼び出しで、すげえ気持ち悪い笑顔で「足に乗れ」ときやがった。断ったがな。戻るときには厳ついスーツの連中に出口塞がれたが、ひとり残らず叩きのめしてやったぜ。
《スーツちゃんの活躍、活躍をお忘れなくっ》
(もちろんだって。出るときはドアロック開けてくれて、出た後は他の連中が追いかけてこないように逆にロックしてくれたからな。でなきゃ随分しんどいことになってた)
他にも銃やらスタンガンやら薬やら持ってるヤベー連中を事前に教えてくれたからな。不意さえ突かれなきゃ対処もかなり楽だった。それぞれ持ってるブツを自分に使う形でブっ飛ばしといたが、銃持ち以外は懲りてくれるかねぇ。
あと長官とやらはスーツ姿の男が2発目で誤射した銃弾で耳がちょろっと削げて、蹴り飛ばした男に巻き込まれた拍子に電流食らって、最後に飛んできた注射がケツにプッスリいったけど自業自得だろう。
少なくてもオレは狙ってない。要所要所でイタズラ好きの無機物が何かしたんじゃないですかねー?
「(足は嫌だから)BULLDOGがいい(んだよ文句あんのか)」
(ぐ、後で話があるからなっ。覚えとけよスーツちゃん)
《オーウ、ニポーンゴ、ワカラナーイヨ?》
「分かった!」
(《分かったの!?》)
「嬢ちゃんのBULLDOG、儂が準備してやる!!」
な、なんかジジイが張り切ってやがる。今さっき死にかけたんだらおとなしくしときゃいいのに。周りが止めてるじゃねーか。
《んー俄然魂入っちゃった感じ? お爺ちゃんはやることがあるとシャッキリするよねー》
(どっちかってーと頭の配線キレてねえかアレ? あー、退役したヨボヨボのボケた爺さんが元上官の声聞いたら、突然ビシッと姿勢正して直立したって話とかは聞いたことあるな。死にかけて脳の変なスイッチ入っちまったのかも)
なんでもいいけど余計な感じに弄らないでくれよな。次の出撃なんだからよ。
「儂に任しとけぃ!! もう命令なんざ知るかっ、パイロットに恩も返さねえで整備士を名乗れるかよ!!」
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