第3話 体育会系組織の悪しき洗礼!! 新人いびり、どころか誰とも会わない訓練

 ≪放送中≫


 妖精が進む。


 晴れの舞台とめかしこんだ少年少女と、それ以上に見栄を張って着飾った大人の列を残らず『背景に書かれたその他大勢』にして。


 新雪のように白いジャージの上下。腰近くまである黒曜石の如く光沢放つ長い髪。たったそれだけの後ろ姿で場の誰よりも光り輝いている。


 それはエネルギー。若い体から放たれる生命力がそのまま燐光のように滲み出ている様を会場の誰もが幻視する。耳に入るカツリカツリと壇上を上がる足音さえまるで芸術のよう。


 歩く。進む。昇る。そして振り向く。たったそれだけの動作でその場の一人残らずが五感すべてを使って彼女に注目していた。


 自分以外は引き立て役と思っているオレ様な少年が。思春期らしく人生を斜めに考えているキザな少年が。本当は戦うなんて怖くて仕方ない内弁慶な少年が。戦う事しか教育されていない寂しい少年が。親の不正でパイロット枠に合格した凡庸な少年が。


女らしくしろと言われ続けた粗暴な少女が。唯々諾々と大人の好きな良い子を続ける少女が。他人に興味の無い感情の薄い少女が。天才と言われても常識がない少女が。影で他者を貶め自分を良く見せる悪癖を持つ少女が。


 誰もが否応なく理解した。人生の晴れの舞台で、自分は『脇役』だと。


 己のカンという独断と偏見で指示を出す長官が。技術に絶対の自信を持つ偏屈な整備士長が。どんな分野にも精通するモラルの低い博士が。無意味に危険訓練と根性論を振りかざすコーチが。常に過剰な担当人数を抱えるオペレーターが。成績の低い息子を才能という名目でねじ込んだ出資者が。将来の交流関係の確保に娘を潜り込ませた官僚が。


 誰もが否応なく理解した。子供たちの晴れの舞台で、自分は『背景』だと。


 誰もが己の口が半開きになっていることも気が付かずに、魂を抜かれた人形になった気持ちで壇上のひとりの少女を無心で仰いでいた。


<今日この日『Fever!!』法の名のもとに。に必要な戦いをに必要な分、に必要な装備で戦うと誓う>


 脳にじかに浸透するような透明な声。それでいて断固たる決意を漲らせた熱量。壇上に舞い降りた妖精からまるで灼熱の死を放つレーザーのようにそれは放たれた。


 放心。放心。放心。死の神が気まぐれで振るった鎌の残光のような言葉から、誰一人として逃げられるはずもない。


 敗北感。具体的な根拠は無い、だからこそどうしようもない敗北感が会場を包んでいた。


 ある傲慢な少年は本物の『才能』を突き付けられて、ある粗暴な少女は本物の『堂々』を突き付けられて。


 絶対に『一番』になれないと実感した。


 ある捻くれた少年は真摯な『態度』が眩しかった。ある聞き分けの良い少女は揺れない『意志』が眩しかった。


 絶対に『友人』になれないと実感した。


 ある内気な少年は本物の『度胸』が信じられなかった。ある無感動な少女は本物の『熱意』が心を震わせるようだった。


 絶対に『絶望』してはならないと実感した。


 ある戦闘しか知らない少年は本物の『戦士』を初めて見た。ある知性の肥大化した少女は本物の『同格』を初めて見た。


 絶対に『戦友』になれると実感した。


 ある何の取柄もないはずの少年は本物の『ヒーロー』が立ちはだかったと思った。ある底意地の悪いだけの少女は本物の『ヒロイン』が立場をかすめ取ったと思った。


 絶対に『排除』しなければならないと実感した。


 その日、パイロット試験合格者激励会に参加した少年少女87名と軍参加者含む会場関係者60名余り、一人残らず翌日までの記憶がほとんど無かったという。





《うぇひひひひひえひっ、ほひっ、ほひっ、ほひっ、楽し、楽し過ぎるっ》


(スーツちゃんの笑い方がキモい)


 何なんだよ。壇上降りてからずっとこの調子でキモ過ぎる。引き笑いっつーか、腸がよじれて死にかけてるみたいな反応で取り付く島がない。せっかくのご馳走なのに落ち着いて食えねえよ。


《げひひひー……っっっと。よし切り替えた。ゴメンねー。あんまり世間と内情のギャップがあったからおかしくってさー。控えめに言って最高っ》


(一行そこらの、ひでえスピーチで悪かったな)


 呆気に取られてボケっとしてる間にさっさと切り上げて何が悪い。そもそも何の準備も無しでスピーチなんて出来るか! 何も反応が返ってこない会場とか、芸人なら心がボッキリいくところだわ。


《今日この日『Fever!!』法(パイロットの意見が最優先の法律)の名のもとに。(の生活)に必要な戦いを(の人生)に必要な分、に(見合う)必要な装備で戦うと誓う。キリッ》


(キリッてねーしぃ、キリッてねーしぃぃぃっ!)


《外からどう見えたか後で映像で見てみるといーよ? トイレに閉じ籠らないでね♪》


 じゃあ見ねーよ!! どんな珍場面になってるか知れたもんじゃねえ。オレだってああいった会場にひとりだけジャージ着て参加してるのが変って知識くらいはあるわ。

 でもスーツちゃんの各衣装のモーフィングデータ、『視聴率』足りなくて持ち越し出来なかったからコレしかねえんだもん。


 っても入ってたデータは全部男物でサイズも合わないから、仮に残ってても意味ーんだけどさぁ。


《まあまあ、ようやく『普通のごはん』にありつけたんだし笑って食べようよ》


(そりゃな。フォーク強く刺したら形がゴソっと崩れるフードパウダー固めた『料理?』と比べたらよ、オレじゃなくたって笑顔が出るさ)


 フードパウダーアレはガワをそれっぽく固めただけで全部水と栄養ブロックだからな。カレーでもミートパスタでも焼き魚でも、割った断面はみんな粉だ。味もカレーはカレーっぽく、ミートパスタはミートパスタっほく、焼き魚は焼き魚っぽく人工調味料で整えてあるだけだった。要は底辺って機械を動かす最低限の燃料でしかねえ。


 そんなでも食えりゃ御の字。腹が減ってるよりマシってのが底辺層の日常だった。


 キャラクター背景過去の記憶はともかく、オレの体感では40日そこらの人生だったがね。


 あの時の予想通り、出撃五回目でキッチリ死んだぜ。クソがッ。


 五回出撃で生き残ったら底辺も二級一般人国民に昇格できるってーのが国の建前だ。で、その肝心の五回目は死亡率爆上がりなのが現実。

 広報部は一貫して否定してるがよ。五回目は『昇格させないために』無駄に危険な戦場に送られるってのが底辺たちの共通認識だった。


 誰かが五回目になると数少ない『犯罪歴の無いまともに話せる同僚』たちで『葬式』し合ったもんだ。底辺は死んでも葬式も墓も無い。別にそりゃいいんだけどよ、『国の誤魔化しで殺される』となったら腹も立った。せめてお国に殺された数だけでもどこかの偉い誰かさんに、当てつけに残してやりたかったんだ。


 だから狭苦しい設備の壁に、先達の底辺の誰かがコッソリ『Sワールド』から持ち帰った鋼材の欠片で引っかき傷をつけて、その傷を『墓』に見立てていた。


 まあそんなもん、みんな無駄だってのは分かってる。お偉い連中が底辺層の一角なんて絶対見やしないだろうからよッ。


 誰も帰ってこなかったしな。オレ含めて。


《低ちゃん、バイタル落ちてるけどストレス感じるほど嫌いなものは食べなくてもいいんじゃない? 同じ栄養を持ってる好きなものを食べなよ》


(ん…、取っちまったから食うよ。毒ってわけでもねえ)


《お腹減ったーって言ってたわりには普通の量なんだね。人いないし食べ尽くすほど取っても文句は出ないと思うよ?》


 いわゆる立食のバイキング方式で、テーブルにもしこたま料理が出されてるのに、さっきからホールにだーれも来やしねえ。今回は参加者残らず身内だけで祝うつもりなのかもな。祝ってくれる家族がいてうらやましいこった。


 いやいや、精神の年齢詐称になってるオレが僻むのはカッコワルイな。他の操縦者あいつらはみんな未成年。むしろあの年で生死賭けて戦わにゃならんのだ、むしろ子にも親にも同情するべき場面か。


 これから一週間のたびに死ぬかもしれない、訃報が届くかもしれないと毎回苦しむんだ。今日くらい家族水入らずで好きに過ごしても贅沢とは言えねえ。存分に甘えりゃいい。


(ドカ喰いは止めとくよ。貰えた新人応援金とやらで夕飯は普通に食えそうだし、無理に突っ込むこともないさ)


 しっかし国の催しのクセに豪華なのは食事だけだな。ホールスタッフはこっちを見るなり痴呆老人みたいにぼけーっとして給仕も碌にしやしない、臨時のバイトにしてもヒデーぞ。お高い料理の説明だけして取るのはセルフなのかも知れねえけどさ。


《じゃあ、食事が終わったら自主訓練申請して訓練手当を貰うといいゾ。応援金だけじゃ服も布団もパンツも買えないでヤンス》


(服と布団はともかくパンツくらいは買えるだろ?)


《チッチッ、女の子の柔肌に身に着ける下着価格をナメちゃいけないゼ?》


(えぇ…、二回目だったか三回目だったかに見た総合通販サイトのカタログだと、確か3枚とか10枚セットで安いやつが――)


《スーツちゃんの、目が、ドス黒いうちは!! そんなデザインセンスも材質も怪しい代物は許さないっ!!》


(えぇ…)




(1時間そこらの訓練で一般層の学生バイトの日銭分が軽く稼げるとか、ボロ儲けだなぁ。贅沢言わにゃあ毎日2時間の訓練だけで暮らしていけそうだ)


 即金で振り込まれた電子通貨があれば休憩室で自販機で飲み物だって買える。種類も色々あったが初日だし日和ひよってオレンジ『風味』ジュースという無難なヤツにした。なんとも平らで嘘臭い柑橘系の香りがする。


《健康な内は、だね。蓄えが出来るほどじゃないぞなもし。どのみち週イチの出撃で渡される戦闘手当と撃破込みでやっと命張る額になるって感じ》


(逆に言えば端金貰った程度じゃ青春をしてまで訓練するのは嫌って話かもな。若者らしいねぇ)


 訓練施設も休憩所も、だーれも居ねえでやんの。新人はともかく現役くらいは訓練してると思ったのに。今日は定休日か何かか? 新人いびりみたいなイベントで絡まれなくていいけどよ。


 それにしてもゴゥンゴゥン的な変な重低音が響く無人の施設ってちょっと怖いなぁ。あと壁や床に埋め込まれてる計器っぽい代物、これ何? 何計ってる計器? 誰が見てんの?


《シミュレーターはどうだった? かゆいところはございませんかー》


(床屋か。オレだけじゃ手間取ったのが本音だな)


 仮想模擬訓練機材シミュレーターとやらでまず一機、ロボットの立ち上げから発進、戦闘、帰還まで一通りやった。一番面倒だったのはシステムの立ち上げ。こういう細かい確認作業はスーツちゃんが手伝ってくれないとモタついてしょうがない。

 前の『ロートル相棒』は問答無用で操縦席に突っ込まれるだけで、ロボットの発射ボタン押す以外は何もしなくて良かったからな。


 無駄に輝く色んな計器を見て無駄にテンション上がっちまったわ。自分でやってみたいと言った手前、途中で泣き言も言えねえから大変だったぜ。


《やはり低ちゃんにはスーツちゃんがいないとダメだねぇ。生クリームのようにデップリと甘えてくれたまえ》


(そこそこで頼む。まあ金も入るし体形が変わるほど間食もできそうではある)


《底辺時代は訓練手当なんてないもんねー。むしろ出撃費用が差っ引かれてたモン》


 2体倒してだいたいトントン。3体でようやく黒字って計算だったもんな。強制で戦わせるクセに払って当然みたいな顔で費用を取りやがる。それなのに一般は訓練するだけで金になるとか。格差だなぁ。


 一般層の操縦者ども、底辺層はヒドイもんだぞ。勝手に人を座席に縛り付けてさあ代金を払え、払えないなら法律違反だ強制徴収だと言い出す地獄のアトラクションなんだぜ? もうメチャクチャじゃね?


(まあ格差の話は置いといて、なんで1時間で切り上げたんだいスーツちゃん)


《日のあるうちに日用品を買うためであります軍曹殿。一般層は男女混合の社会だからそこそこ危険が危ないのデス》


(ああ、そういう話ね。底辺層は性別で別々に隔離されてたからなぁ。久々に女って生物を見たわ)


《えー? 昨日のお風呂で色々・・見たんじゃないのぉ? 体は薄い本に出そうな美少女でありますゾ?》


(自分は見たにカウントしねえんだよスーツ二等兵。粘っこい口調をやめたまえ)


 今の世界は国際政策で人口間引きをしている。それなのに貧民にありがちなパターンで暇さえあればポコポコ増殖されるとかされたら意味がない。だもんで底辺層の男と女は物理的に何百キロと離れた場所に分けられているんだよな。


 さらには性欲が減衰するお薬を飲料水に混ぜ込む徹底ぶりだ。これに関しちゃ性欲解消できないストレスからくる攻撃性や反抗心を削ぐためでもあったみたいだがよ。動物を去勢するとおとなしくなって飼い易くなるってのと同じ話なんだろう。


《なーんか自覚が薄いなぁ。今の姿でスーツちゃんを着ないで貧困層には近づかないようにね》


(言われなくても近寄らないよ。下手したら底辺層よりヤベーからな)


 ガチガチに管理されてる上に性欲落とすお薬まで盛られた底辺層の住人は根っからの犯罪者以外は結構おとなしいのだ。管理の甘い『一般の貧者』のほうが犯罪率は遥かに高い。こいつらはいわゆる暗黒街の住人ってヤツで、そんな連中がいるところに若い女が好き好んでいくもんじゃねえよ。


 まあ『Sワールド』関係者と知られてりゃ、普通は『Fever!!』が恐くて手を出してこないもんだがな。それでも、どこにでも破滅型の異常者ってのはいる。エンカウントしそうな場所には行かないのが一番だ。


《もしも変質者が出たら問答無用でふたつ・・・ともコナゴナにして殺そう! 痕跡はスーツちゃんが消すから、どんな残虐ファイトもOKさっ》


(ああ、うん。ドコ・・をコナゴナにするかはともかく、オレも変な事されるくらいなら相手をブチ殺すよ。いちいち警察だ捜査だ報復だなんてやってらんねえし)


《そうだ! 低ちゃんにエロい事するのはスーツちゃんの権利だっ!》


(当店はそのような商品を取り扱っておりません)


 別にオレやスーツちゃんが特別過激って訳じゃない。この世界の犯罪者の扱いは冷淡で問題ないんだ。だいたい法律が悪い。


 金持ちは国に多額の罰金を払えばその日のうちに釈放されちまうし、貧乏人ならそのまま底辺落ちで間引く対象になるだけ。被害者は置いてけぼりなのだ。


 どっちも問題だけど被害者が一番困るのは犯罪者が貧乏人だった場合だろうな。国に払った罰金のほんの一部が被害者の賠償代わりって感じに『見舞金』として投げて寄こされる。


 つまり弁償も賠償もせずに底辺送りになる貧乏人が加害者の場合、丸損になっちまうんだ。


 場合によっては通報せずに家族友人集めてお礼参りを敢行して報復リンチにしちまうわけだぜ。賠償も出来ないならせめて鬱憤を晴らさせろってことだろう。正直スゲー分かるわ。


 そう考えれば一般層も大概殺伐としてるなぁ。一般こっち一般こっちひでぇもんだ。


《犯罪者に人権のあった豊かな時代はもう終わったのだ。軽犯罪三度スリーストライクで重罪人。あと一回何かの違反で人権はく奪、底辺落ちの名無しの権兵衛になる崖っぷち状態で当然なのデス。でも冤罪から人権を守る観点から国は死刑を廃止しています。キリッ》


(まあ実質死刑よな、底辺落ちって)


 昔に収容されてた重犯罪者たちは『Fever!!』がそう名乗ったかなり早い段階で『いらない』の一言と共に施設ごとコナゴナにしている。まあこれは底辺からすりゃスカッとする話だけどよ。


 こっちが必死こいて重い税金納めてそのうえ命がけで戦ったんのに、金も納めずのうのうと飯食って生きていられちゃムカムカするわ。


 そういう訳で人権とか道徳とかお優しい価値観は、もはやこの世界じゃ『一般』以上の人間にしか適用されない。それくらいしないと資源や食料が足りないってのが国の言い分だ。


 いやはや身も蓋も無い――――訳でもない。これ、ちょっとカンの良いヤツなら『言葉が足りない』と分かると思う。


 要は『エリート』と『一般』が人間として豊かで文化的な生活を送るために、人口を減らしてその分を上の連中に回しましょうって理論なんだわな。最初から『底辺』が優先的に間引かれるように政策が作られているのだ。


 底辺は多重に税金をかけられ、劣悪な場所に押し込められ、必ず7日に一度出撃して戦わにゃあ法の下にお国に殺される。

 怪我も病気も理由にならない。義務違反金という高い罰金を払えれば免除されるがよ。ただでさえ重税持ってかれるのにそんな金、底辺はまず持ってる訳もない。


(あーあ、ブサイクだったらこんな心配はしなくてよかったのかねぇ)


《意外と関係ないらしいよ? そういう性犯罪者ってお構いなしみたい》


(誰得っ!?)


《人類がポコポコ増えるわけだよねー》


 まあブサイクが淘汰されてない=繁殖してるってことだからなぁ。人類はDNAなんて言葉が出る前から動物の交配で生物の容姿をコントロールできると証明している。それでもブサイクがいるのだから生殖は行われているんだろう。


 さすがは年中発情期生物盛ってる動物こえーよ人類。


《という訳で、低ちゃんは容姿に見合った微妙にエロい服とカワイイ下着を身に着ける義務があるんゾ?》


(何がという訳か分かんないけどエロい衣類は買わない)


《低ちゃんでは乳袋付きの衣装は無理だけど、それなら脇を出していこうぜ!》


(脇より買うなら布団だ)


 ベッドも悪かないんだがなぁ。もう高層から落っこちかけることもないし。でも枠があるとカプセルベッドを思い出しちまうから出来れば布団がいいな。


《そーだねー。なるべく持ち帰れるようにして部屋に届け物はさせない方向で》


(配達ダメなのか? デリバリーとか頼んでみたいんだけど)


《配達から身元や家族構成がバレて犯罪者に目を付けられるパターン、結構あるんだよ? 低ちゃんみたいな美少女の独り暮らしなんて『押し入って』と誘ってるとしか思えないっ、やらしい!!》


(全国の独り暮らしの女性に謝りなさいっ!)


《誘ってるうんぬんは言い過ぎだけどさ、低ちゃんはそのくらい注意しないとマジで襲われちゃうゾ? もちろんそうなってもスーツちゃんが助けるけど、バラバラ死体の出た部屋で暮らしたくないでしょ?》


(助けてくれるのはありがたいけど、バラバラにしちゃうのかよ……)


るのもあくまで低ちゃんの体を操ってだし。生きてる人体の解体ショーをさせたくないなぁ》


(そんな心配するくらいなら首を折るとかにしてくれっ!)


《無理。個人が身を守るなら恐怖以上の犯罪抑止術はないじょ。楽な死に方ならワンチャン狙うヤツは結構いるけど、地獄の刑罰みたいな目にあいたいヤツはまずいない。スーツちゃんの低ちゃんを襲おうとする性犯罪者はグチャグチャになれぇ!!》


(無機物の愛が重い!!)

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