飛び込んだ先に

「よっと、うわぁ!!」


 目の前にはセシアの顔があった。

 これは避けれない。

 

 結果的にセシアに覆いかぶさる形になった。

 この状況は不味い。 

 セシアは僕の顔を見て震えている。


「ご、ごめん」


 僕がそう言うと、彼女は布で胸に手を当て僕を睨みつける。

 

「どこから現れたのよ!!」

「えっと、その……説明すると長くなるんだけど……」


 そう言ってこの門について説明しようとしたが、跡形もなく消えてしまっていた。


「えっと、信じられないかもしれないけど、知り合いの空間転移の実験をしてて間違えてセシアの部屋に入っちゃって……とりあえずごめん!!」


 そう言って僕はセシアの部屋を全力で出ていく。

 それにしても、あの状況で叫ばれなかったのは幸いだった。

 あそこで叫ばれたら押し倒しているので、完全に黒である。


「追っては、来ていない様だ」


 落ち着いたら、セシアに状況を話すとしてあの話を思い出す。

 

 堕ちた勇者

 羽を取られた鳥

 血塗られた花嫁だ


 もし、この文献があるのなら調べてみる価値はありそうだ。

 この世界の事について少しわかるかもしれない。

 

 しかし、今日はもう遅いで、明日王立図書館にでも行ってみるかな。

 今週はほぼ休み……調べるには丁度いい機会だろう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る