酔っ払い

「さぁ、これを飲むのじゃ」


 意味の分からない語尾で楽しそうに言う彼女の方を見ると、頬が紅く染まっていた。


「レア、酔っていません?」


 この世界は16歳から酒を飲んでもよい年齢となり、レアの年齢からすれば飲めない年齢でもない。

 

「酔ってる? なんで?」


 目は完全に焦点が合っていなかった。

 その手に持っているのは恐らくアルコールだろう。


「それ、麦茶じゃないですよね?」

「麦茶だよ~」


 そう言うと、レアはふらつき僕にもたれ掛かった。

 レアの胸が身長差で当たる。

 大きくもなく、小さくもない胸だ。

 柔らかいと思い、少し顔が緩みそうになるのを必死にこらえる。

 ここでにやけたのがばれたら、他の女性陣(主にセシア)にボコボコにされかねない。

 

「れ、レア……大丈夫?」

「サウルはいい子だな~、よしよし~」


 そのまま酔っぱらいは僕を抱きしめると、なでなでしてくる。

 酒癖悪いな!!

 

「こ~ら、レアは飲みすぎだよ……」

 

 絡まれて困っていると、ミリスはレアの両脇に腕を絡め僕から引き剥がした。

 

「さ、もう部屋に戻るよ~」

「え~」

「え~じゃありません、ほら行くよ」


 ミリスは無理やり彼女を部屋に連れて行く。

 レアは普段は大人しいが、怒らすと超怖いミリスの顔を見ると暴れずに大人しくついていく。

 いつもの悪絡みに酒で大きくなっただけのようだ。

 

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