目標

 この世界での目標は蒼と共に平和に暮らすことだ。

 ……蒼って誰だっけ?

 今一瞬だが、蒼の名前が出てきたが顔が思い出せなかった。

 不味いな。

 急がなければ蒼という存在そのものが記憶から完全に消えてなくなるかもしれない。

 記憶を絵にすることが出来る魔道具があるそうだが、それを探す必要が出てきたのかもしれない。

 

「ほら、どうした~?」


 レアの言葉に僕は意識を向ける。

 そうだ、今は学院の目標を言わないといけないんだった。

 どうしよう、蒼を探す手がかりを探るために来ただけなので、目標などなかった。


 とりあえずは首席で卒業して蒼を探そうとは思ったのだが、それを目標とは言えない。


「大丈夫? 先にオットー君とコロナに頼む?」


 目標か……。

 首席で卒業して、何がしたいのだろう?


「早く言いなよ、村を守るためだって」


 そうだ、ルラの言葉と自分の目的がここに来る目的でもあった。


「村を守る?」

「うん、私達の村は王都から離れてて、盗賊が来ることがあって……今はミリーさん達の後任と私達が村を守ってる形で卒業したらサウルはこっちに戻るの……そうよね?」

「え、えぇその通りです」


 なんというか、自分で言わないといけないのにルラに言われてしまった。


「目的変わった?」

「いや、そんなことは……」

「ふ~ん」

「じゃ、じゃあ俺が次だな」


 気まずそうな雰囲気の中、オットーがコホンと咳払いすると、オットーは目標を語り出した。




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