知らぬ存ぜぬ

「とりあえずどんなものか頑張って考えてみただけですけど、やっぱりさっぱりですね」

「それはそうさ、これは異世界から召喚された勇者でさえ真実の本という名前しか解読できないんだから」 


 正直、異世界の勇者がこれを解読できない可能性は低い。

 亜美という女性の言葉が正しければ、この世界に召喚される勇者は僕の前世の

世界の人間が多いという事だ。

 特に日本限定の発言をしていることから、魔法という言葉を知っている世界限定であると思う。

 恐らくだが、この本を読んで言おうという者などいない。

 バレれば処分され、真実がわからなくなるからだ。

 僕は本で書いてある魔法のみを書く。

 

「何してる?」

「あぁ、帰って解読してみたくって……」

「お前、研究熱心だな」


 感心したように言ってるが教授、貴方もこちら側ですからね。

 彼は自分の興味のある分野、錬成魔法しか研究しないのだ。

 その錬成魔法もそれほど重要視されていないせいか、知名度が低い。

 

「何でもできることはやりたい主義何で」

「変わってるな」

「教授に言われたくありません」


 正直、変わり者であってもこの人に言われると、腹が立つ。

 教授は魔法学院最上級の変わり者だ。

 色々なうわさが飛び交う。

 学長の銅像を木彫りで複数錬成して魔術の練習台にしたり、自身で試作した魔術術式をその辺にばら撒き、生徒で実験したりするのだ。

 僕は本の最後の方の文書き終えると本を元の場所に戻した。

 ここで調べるのは危険だ。

 そう思いながら僕は他の本を手に取るのだった。








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