防戦一方
必死にルラの攻撃を防御しているが、彼女の魔法が止む気配がない。
あれだけの攻撃、彼女の魔力が持つはずもない。
手袋に何か秘密があるのは間違いない。
僕が膝をつくと、彼女は攻撃をやめる。
それと同時に構えていた右拳を前に突き出してくる。
避けられない、今動くには少し遅かった。
そのまま拳の攻撃は僕の魔法壁にぶつかる、事はなかった。
そのまま魔力は薄いガラスの如く貫通し、僕の身体を貫く。
凝縮された一点集中の攻撃だった。
これは……。
僕の意識が途絶えた。
目を開けると、ルラの顔が視界に入る。
負けた……のか?
一瞬の攻撃だった。
拳を放つと同時に柔らかいものを貫くが如く僕の魔法壁を打ち破ったのだ。
「えへへ、私の勝ち」
目が覚めると同時に彼女は笑顔でそう言い放つ。
「あの魔法……見たことなかったな~」
「そりゃそうだよ、私が作った専用魔法なんだから」
通りで対策できないわけだ。
「その手の奴も?」
「この手袋の中の指先に術式を組んでるの」
やはりそうだったか。
「術式は聖魔法と魔抑と魔術?」
「左手はご名答、聖魔法と魔力の消費を抑える術式を組んだものだよ」
「右手は?」
「それは内緒」
人差し指を口に当ててウィンクする。
自分の特有魔法は切り札だ、おいそれと教えるわけもないか。
「ま、これは私一人で出来たわけじゃないから」
「凄すぎでしょ」
正直、普通にわかってても対策するのは至難の業だ。
そうして僕らの模擬戦は幕を閉じた。
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